五輪決勝Tで惨敗…なぜ”元世界一”なでしこジャパンはここまで弱くなったのか…再建に必要なのは監督解任とFW発掘と育成
報道によれば、試合後の会見で進退を問われた高倉監督は「私自身が決められることではない。自分自身の思いはあるが、いまここで言うべきではないと思う」と明言を避けたという。 去就について近く日本サッカー協会(JFA)の女子委員会で協議され、後任にはU-19日本女子代表の池田太監督が浮上している、とする別の報道もある。 2011年の女子ワールドカップを制し、翌年のロンドン五輪、2015年の女子ワールドカップでも準優勝したなでしこの躍進は、同時に世界の女子サッカー界を目覚めさせた。 日本人よりも優位に立つサイズやフィジカルの強さを保ったまま、テクニックや組織力をなでしこに追いつかせたヨーロッパ勢やカナダが躍進。2019年の女子ワールドカップでは、なでしこは決勝トーナメント1回戦でオランダ女子代表に屈した。 「フィジカル的な要素を積み上げていこうと選手たちは日々努力していたし、実際にレベルアップもしていますけど、それ以上に世界の女子サッカーそのものがものすごい速度で進化を遂げている。ここで答えを出すのは難しいですけど、負けたという事実があるなかで、自分たちの武器以上の何かを持たなければいけないと思います」 直近の女子ワールドカップに続いて、グループリーグを突破した直後にヨーロッパ勢に屈した現実を、高倉監督は神妙な表情を浮かべながら受け止めた。世界との差はさらに広がってしまったのか。悲観的な見方に、しかし、鈴木氏は首を横に振る。 「正直に言って大きく開いているとも、なでしこに勝つ力がないとも思っていない。戦い方次第というか、チーム作りと戦術がしっかりと定まれば十分に対抗できる」 なでしこが秘める可能性を示したのが、一時は同点に追いついたゴールだった。 キャプテンのDF熊谷紗希(バイエルン・ミュンヘン)が、右タッチライン際の清水へ速いパスを通す。このとき、すでに長谷川は内側のレーンをトップスピードで加速。清水がワンタッチで前方へはたいたボールを、再びワンタッチで折り返した。 キーパーとセンターバックの間を狙う、セオリー通りの絶妙のクロス。テンポよく回されたボールに対して、スウェーデンの選手たちの帰陣も間に合わない。最後はゴール正面に飛び込んだ田中が、宙を舞いながらワンタッチで左足を合わせた。 「選手個々のスピードやパワーという問題に関係なく、日本人でも最終ラインからあれだけ速い攻撃を仕掛け、他の国には真似できないゴールまで生み出せると証明した」 スウェーデンの選手たちを脱帽させたゴールを高く評価した鈴木氏は、なでしこのストロングポイントをさらに磨いていく上でJFAをあげて、ストライカーを発掘・育成をしていく作業が必要不可欠だと指摘する。