五輪決勝Tで惨敗…なぜ”元世界一”なでしこジャパンはここまで弱くなったのか…再建に必要なのは監督解任とFW発掘と育成
北村を投入するならば、左サイドバックの宮川麻都(日テレ)を代えるべきだったと鈴木氏は指摘する。大会途中で長谷川が左サイドハーフから右に移った相乗効果で右サイドは活性化され、なでしこの最大のストロングポイントになった。 前を向いて勝負できる杉田妃和(神戸)が、リザーブから左サイドハーフの先発へ昇格した相乗効果でもある。ただ、後方の左サイドバックとのコンビネーションを構築できなかった点で、杉田が孤軍奮闘を強いられ続けた感は否めない。 「宮川個人の能力うんぬんではなくて、右サイドバックの清水のような存在が左サイドバックにいない陣容で、最後までチームとしてカバーできるような状況ではなかった」 23歳の宮川も21歳の北村も、なでしこでのキャリアは残念ながら浅い。それでも攻撃面で見せる北村の意外性を評価する鈴木氏は、左サイドバックの一番手に推していたが、実際に東京五輪の4試合では北村と宮川が交互に先発している。 固定されなかったのは左サイドバックだけではない。グループリーグ3試合で5人ずつを入れ替えた高倉監督は、一発勝負のスウェーデン戦の先発メンバーも4人を入れ替えた。ベスト8進出を決めている男子のU-24日本代表を率いる森保一監督が8人を固定してグループリーグを戦ったのとは対照的だ。 就任から5年以上の時間を与えられ、なおかつ大陸予選もない自国開催の五輪へ、体制を整えられないまま臨んだ高倉監督の進退が今後は問われる。鈴木氏も「初めて女性監督を起用したことは素晴らしかった」としつつ、オーストラリアとニュージーランドで共催される2年後の女子ワールドカップ、3年後のパリ五輪へ厳しい見解を示した。 「再び世界の頂点を目指すのであれば、日本の女子サッカー界全体の大きな問題として代表監督の交代を考えるべきだと思う。年代別の代表で活躍した、代表歴の少ない若手を積極的に抜擢したのは高倉監督のよさでもあり、逆の見方をすればメンバーが常に変わってきたなかで、五輪のような大きな大会をチームとして出来上がっていないというか、コンビネーションというものをなかなか作り出せないまま迎えてしまったので」