なぜ高倉監督は”世界一”メンバー鮫島を外し平均年齢24.6歳のヤングなでしこで東京五輪を戦う決断をしたのか
今夏の東京五輪に臨むサッカーの日本女子代表「なでしこジャパン」の登録メンバー18人とバックアップメンバー4人が18日、日本サッカー協会から発表された。 キャプテンのDF熊谷紗希(バイエルン・ミュンヘン)、エースのFW岩渕真奈(アーセナル)らの主力が順当に選出された一方で、ベテランのDF鮫島彩(大宮アルディージャVENTUS)が落選。バックアップメンバーを含めた22人の開幕時の平均年齢は24.6歳で、前回出場のロンドン五輪の25.4歳より若返った陣容でメダル獲りに挑む。
高倉監督は当日朝まで選考に苦悩
日本サッカー協会の公式YouTubeチャンネル、JFATVでライブ配信されるメンバー発表会見が数時間後に迫っていた18日朝。予定よりも早く目覚めたなでしこジャパンの高倉麻子監督は、1時間半ほどをかけて自宅付近の公園を散歩した。 「今朝まで最後の1ピース、2ピースは正直、悩みました。さまざまな思いを巡らせていたなかで、散歩が終わるころには『こうしよう』と気持ちが固まりました」 具体的には言及しなかったが、指揮官を悩ませた存在は今年に入ってなでしこデビューを果たした21歳のDF北村菜々美(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)、23歳のMF塩越柚歩(三菱重工浦和レッズレディース)だったはずだ。 最終的には北村と塩越の名を18人のリストに書き込み、特に前者がプレーするポジションのひとつ、左サイドバックで重複していた鮫島を外す決断を下した。鮫島に関しては4月シリーズこそ招集されていたが、ウクライナ女子代表に8-0、メキシコ女子代表には5-1で勝利した6月の国際親善試合では選外となっていた。 「(北村と塩越は)シンプルにパフォーマンスがいい、というひと言に尽きます。2人ともひとつのポジションだけでなく、チーム戦術のなかでどのポジションに置いても理解度が高く、そのなかで自分自身を発揮できる強さを感じたので選びました」 北村は右サイドバックと左右のサイドハーフで、塩越は中盤の攻撃的なポジションに加えてサイドバック、そしてフォワードでもプレーできる。フィールドプレーヤーが16人とワールドカップの20人より少ない五輪で重視される、一人が複数のポジションでプレーできるポリバレント性が最後は決め手になった。