なでしこJ高倉監督の“日替わり采配”に疑問?!チリに1-0勝利で決勝T進出決定もベスト布陣見えず
深刻さを増す決定力不足に焦燥感を募らせ、相手の反撃に冷や汗をかきながらも、日本女子代表「なでしこジャパン」がグループリーグ突破を決めた。 東京五輪5日目の27日に行われた、女子サッカーのグループリーグ最終戦。有観客の宮城スタジアムでチリ女子代表と対戦したなでしこは、後半32分にFW田中美南(INAC神戸レオネッサ)があげた先制点を死守。3戦目にして大会初勝利をあげた。 1勝1分け1敗で勝ち点を「4」に伸ばしたなでしこはグループEの3位ながら、グループFの3位・ザンビア女子代表を勝ち点で、グループGの3位・オーストラリア女子代表を得失点差でそれぞれ上回ってベスト8へ進出。舞台を埼玉スタジアムに変えて30日に行われる準々決勝で、スウェーデン女子代表と対戦する。
「今まで感じたことのないプレッシャー」
エースの目にはうっすらと涙がにじんでいた。自力で決勝トーナメント進出を決めた直後のフラッシュインタビュー。FW岩渕真奈(アーセナル)は本音を打ち明けた。 「正直、いままで感じたことのないプレッシャーがありました。ここで終わるわけにはいかなかったし、その意味で不安がありましたけど、みんなの力で勝ててよかった」 チリに勝てば無条件で、引き分ければ他のグループの結果次第で決まる決勝トーナメントへの道は、一転して負ければ閉ざされる。試合を圧倒的に支配し、チリの5倍以上となる21本ものシュートを放ちながらもゴールは遠く、ともに無得点で迎えた後半24分には相手の決定的なシュートがクロスバーに弾かれる幸運にも救われた。 時間の経過とともに色濃く漂ってきた、重苦しい雰囲気を振り払ったのは岩渕だった。MF杉田妃和(神戸)の縦パスをペナルティーエリア内で受け、相手のプレッシャーを背中越しに受けながら巧みにキープ。FW菅澤優衣香(三菱重工浦和レッズレディース)に代わり、後半開始から投入されていた田中による待望の先制点をアシストした。 カナダ女子代表との初戦でPKを失敗した田中にとっては汚名返上のゴール。試合後には「みんなのおかげで取り返すことができた」と、岩渕をはじめとするチームメイトに感謝したが、日本女子代表の初代専任監督で現在は解説者を務める鈴木良平氏は、菅澤と田中へ「フォワードとして役不足です」と厳しい評価を下した。 「自分が点を取れない状況で岩渕のように味方のためにスペースを作る、アシストをするといった仕事をしているのかと言われれば、前半の菅澤も得点した場面以外の田中も残念ながら何もしていない。菅澤に関しては春先からの強化試合を通して常に難しいと感じていたし、田中に至ってはなでしこリーグで確固たる結果を残しても長く招集されていなかった。それでも最終的に東京五輪代表に菅澤と田中を選ばなければいけなかった点で、問題は日本の女子サッカー界全体におけるフォワード陣の人材不足に行き着く」