ブラジルとの0-1敗戦をどう評価すべきか…城氏分析「粘り強く戦えばスペイン、ドイツに勝ち点1を取れる可能性は示したが…」
その中でも収穫があるとすれば、酒井宏の欠場もあって右サイドバックで起用された長友だろう。欧州チャンピオンズリーグで決勝ゴールを決めた対面のレアル・マドリードのビニシウスに対して高い位置をキープして先手を取った。伊東が右にワイドに張っていたこともあり長友がインナーラップを何度も仕掛けた。後半13分には、抜け出した長友が伊東の縦パスに反応してペナルティエリアに入り、クロスを供給してブラジルの肝を冷やさせたシーンもあった。 長友の豊富な経験値から導かれた駆け引きがビニシウスを封じたと言っていい。ビニシウスはドリブルで仕掛けることができず、ブラジルの攻撃力は削がれていたし、後半18分にチッチ監督は、ピッチ上で消えてしまっていたビニシウスをベンチへ下げた。今後、長友と伊東の連携力を高めることができれば、新たな攻撃オプションになるのかもしれない。 ブラジルから学ぶ点もあった。選手は肌感覚でそれを感じ取っただろう。 ひとつは個の技術の部分。とにかくボールの動かし方、持ち方が絶妙だ。必ず日本のディフェンスよりも遠いところにボールを置き、体を挟んでくる。 1対1の間合いの取り方にも独特のものがあり三笘の仕掛けも通用しなかった。距離、体の寄せ方、足の伸び方が違ったのだ。 もう一つは、縦パスの通し方への工夫だ。縦パスのコースを日本のディフェンスに切られて通らないと思うと、ボールをコントロールして半歩動く。パスコースをボール半個分ほどずらしてから、パスを出すので綺麗に通るのだ。対する日本は、そういう工夫をする前にカットされたらどうしよう、カウンターが怖い、という思いが先に立ち、リスクを背負えなかった。後半から原口と交代した鎌田はいいポジションにいたが、縦パスが入ってこなかった。下がってボールを受けることとなりパラグアイ戦で光った彼の良さが出てこなかった。 0-1の点差以上にワールドクラスのチームとのクオリティの違いを感じた。 (文責・城彰二/元日本代表FW)