ブラジルとの0-1敗戦をどう評価すべきか…城氏分析「粘り強く戦えばスペイン、ドイツに勝ち点1を取れる可能性は示したが…」
ブラジルのオフェンスは、次から次へと世界トップクラスのテクニックを披露して、ファンを楽しませてくれたが冷静に見れば、一個、二個といらないパスもあった。もっと強いチームが相手であれば、そのままシュートを打っていただろうなというシーンもあったが、あえて細かくボールを落としたりしていた。余裕というか遊び心。 フル出場したネイマールにボールを経由させた点もそうだろう。 他の選手のネイマールへのリスペクトもあったのだろうが、そのことで攻撃のスピードが遅れ、日本が守備隊形を整える時間を与えてくれた。本来であれば、あれだけ攻めても得点につながらないのであれば、チッチ監督も、変化を指示したはずである。だが、ネイマール経由のパターンが変わらないため、日本も彼をマークしやすくなっていた。 課題はやはり攻撃面だろう。 1対1では抜けないしパスでも崩せない。 トップの古橋にボールが入らないし触れなかった。守備だけで息が上がって終わった感が強い。伊東もスピードを生かしきれず、後半27分に出場の三笘もブラジルのディフェンスを突破できなかった。南野はボールを持つ能力が高いが、何もさせてもらえなかった。 守備一辺倒になるのは予想されたし、ボールを持って崩すのが難しいのであれば、セットプレーとカウンターにしかチャンスはなかった。だが、そのセットプレーでもショートを一回使っただけで、ブラジルを慌てさせるようなアイデアはなかった。セットプレーの専門家を入れてトレーニングをしているのであれば、何かを見せてもらいたかった。弱い相手に試しても仕方がない。残念だ。 後半には、さすがのブラジルも疲れ中盤にスペースが生まれ始めたが、カウンターも効かなかった。レアル・マドリードのミリトン、パリサンジェルマンのマルキーニョスのセンターバック2枚に阻止された。 2人のポジショニングが最高で、裏に抜けることができず、ドリブルも遅らされた。日本は速攻のパスだけにこだわりすぎたように思えた。相手を引き寄せてからパスに転じるとか、自分でスペースまで持ち込んで状況を打開してもよかったのではないか。そのあたりの対応力も不足していた。 いっそのことスタートは前田でいき、前から徹底して守備で追わせ、後半にスペースができてくるところで古橋を投入。彼の持ち味である間を抜くプレーでワンチャンスを創出する起用法の方がベストではなかったか。勝ち点3を取るための突きつめたゲームプランがどこまであったのか。そこは疑問に感じた。