幻に終わった亀田和毅RIZIN参戦計画…対戦流れた皇治は元PRIDE”レジェンド”五味と体重差約10キロの異色マッチ
ルールは2年前の大晦日に行われた「メイウエザー対天心戦に近い」(榊原CEO)もの。フロイド・メイウエザー・ジュニアは、無敗の5階級制覇を果たしたボクシング技術に加えて10キロ以上の体重差を生かして那須川天心を3度ダウンさせ1ラウンドで血祭りにあげた。下手をすると、皇治も、その二の舞となる危険性もあるが、こう言う。 「判定で(決着を)つけていいとも思うが、大晦日に判定はいらんと思うんで自分も倒しに行く。自分は得意なキックを蹴らない。MMAとしての勝負論もなく、お互いの得意なところを抜いて殴り合うのが大晦日らしくていい」 亀田和毅戦以上の話題を集めるには、逆境に立たされる異色の“ハンディキャップマッチ”へ挑む姿を見せるしかない。“エンターテイナー”の皇治らしい決意である。 逆に五味は余裕しゃくしゃく。 「体重差があるのでヘッドギアをしていい。ワンサイズ違うグローブを使って。あとで何を言われても嫌。体格差が違うわけですから」 皇治が「ちょっと甘えてヘルメットみたいなかっこいいヘッドギアを用意していいですか」と突っ込むと、五味は「どうぞどうぞ」と笑った。 そして「金玉おじさん」「五味ちゃん」と“口撃”されたことに対して「そのエネルギーを試合に出そうね」と大人の対応を見せた。 五味にとっても、このエキシビションマッチに意義はある。 「ボクシングスタイルもやってみたかった。メイウェザーも来るし、チャンスがあればという希望を持ってトレーニングをしている。昔は、ボクシングに転向しようとしたこともあるが、もう35歳を超えていて、会長に相談したら“お前はもうライセンスとれないよ”と。それほど大好きなボクシングなので、動いてみるといかにメイウェザーが凄いかもわかるだろうし、総合と違うものでお客さんも喜んでくれたら」 来年2月28日に東京ドームで予定されている総合格闘技イベント「MEGA2021」にはメイウェザーが参戦予定。メイウェザーは、その8日前に米国で人気YouTuberのローガン・ホールとのエキシビションマッチを戦うため、新型コロナの自主隔離期間などを考えると、その日程での来日は不可能と思われるが、日程が変更されるにしろ、まだ対戦相手は未定だ。最有力候補の朝倉未来がRIZINフェザー級王座決定戦で敗れたことで白紙に戻っている。五味には、この皇治戦でボクシングの実力を見せつけて、メイウェザーの対戦相手に名乗りをあげたいとの秘めた野心がある。 PRIDE時代には、当時、WBC世界スーパーフライ級王者だった徳山昌守氏との“ボクシングマッチ”が実現寸前まで進んだこともある。 格闘技において体格差は絶対ではある。だが、五味がいくら打撃が得意と言えどボクサーではなくMMAの選手。しかも2018年7月の「RIZIN.11」でのメルヴィン・ギラード戦以来、2年半のブランクがあり準備期間もわずかで、42歳。打撃技術でいえば、皇治の方が専門で、亀田和毅戦に備えていたから準備も万全でスピードとスタミナでは上回る。体重差問題からそれらを差し引いてどうなるのか。 榊原CEOは「皇治には、ぶっ飛ばされようがぶっ倒しにいくという意地がある。ほうっておいてもフルスロットルの迫力のある試合になる」と見解を述べたが、エキシビションとはいえ予想の難しい異色マッチとなりそうである。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)