リオ五輪銀メダル太田忍はRIZIN大晦日決戦で所英男に勝てるのか…「レスリングの強さは見せたいがプライドはない」
総合格闘技イベント「RIZIN.26」(31日・さいたまスーパーアリーナ)でプロデビューするレスリングのリオ五輪、グレコローマン59キロ級銀メダリストの太田忍(26)が14日、練習を公開した。対戦相手は、かつて“闘うフリーター”として一世を風靡したベテランの所英男(43)。試練とも言える強豪とのマッチメイクだが所にも総合の試合は、約3年5かぶりというブランクがある。太田は五輪銀メダリストのプライドを捨ててリングに上がる決意を明らかにした。
「打撃でのKO勝利も可能」
オンラインで行われた公開練習では2分間のミット打ちを披露した。ジャブ、ワンツーの基本パンチに加えワンツースリーまでのコンビネーションブローも見せた。 「今日の力入れ具合? 3割くらいの力です。そこまで力を入れずにリラックスしてやっていました」 太田はすでに打撃に必要なのはスピードとタイミングであることを理解している。さらに打つことより、打ち終わりを狙われることに備えてのガード、ポジショニングを丁寧に変えることへの意識を徹底しているのが印象的だった。1週間のスケジュールを打撃の日、寝技の日と分けてトレーニングを行っていて打撃の占める割合は「40から50%」だという。 アマチュアレスリングと総合との大きな差が「やるか、やられるか」の恐怖感の克服。その最たるものが打撃になる。だが、太田は、「実際、恐怖感が無いと言ったらウソになりますが、それよりも自分がやってやろうという気持ちの方が強いので、そこまでの恐怖感はないです」と言い放った。 スパーリングでは何度かパンチをもらったが、「怖いとか痛いとかはなかった」。むしろ「負けん気が強い方なので、逆に悪い方向になってしまうこともあるんです」という。ディフェンスを忘れ、本能に任せた殴り合いに応じてしまうのだろう。 そして太田は打撃でのKO勝利を“予告”した。
「試合の流れなので、どうなるかはわからないですが打撃で倒すとしたらこういうパターンになるというのも準備していますし、チャンスができたら、あるいは自分でチャンスを作ることができたら打撃で決めることも可能ではないかなと思っています」 太田の武器は、レスリングの下地を生かしたタックル、組み技である。 特にグレコで繰り出した投げ技や「忍者レスラー」と海外で恐れられた変幻自在のディフェンス能力や対応力を総合にも生かしたい。本人も「レスリング力を見せられればいい」と断言する。 スパーリングでも、自分でバランスを崩すとき以外に「もつれたところから押さえ込まれることはあまりない」という実力を発揮しており、「がぶりの体勢になれば強さを発揮できているかなと思います。コントロールできるかと」との自信がある。 上半身への攻撃だけを認められているグレコでは総合でテイクダウンを奪うために使われる足へのタックルは禁じられているが、「自分では上手い方だと思っている」と、そこにも胸を張った。 一方で所の武器はグラップリングである。まるで魔術のようにクビや関節を決めてくる。総合の最後の試合は2017年7月のRIZINでの堀口恭司戦。その試合にTKO負けして以来、3年5か月のブランクがあるが、総合の“レジェンド”桜庭和志が主催する打撃無しのグラップリングに特化した格闘技イベント「クインテット」には参加しており技術に磨きがかかっている。 「僕は冷凍人間。堀口戦のままの自分で試合をする。桜庭さんのクインテッドで組み技も強くなっている」 会見で所もこう語っていた。