「金融緩和見直しは当面考えられない」日銀・黒田総裁会見12月20日(全文2)
安定的な2%が見えてきたら、点検・検証を行うのか
記者:ブルームバーグニュースの藤岡です。これまでのお話も踏まえてなんですけれども、総裁は前回会合のあとに、少し安定的な物価目標まで近づいているという趣旨のご発言をされました。もちろんまだ2%が、安定的な2%が見えていないということであるとは思うんですけれども、前回会合からのいろんな変化を踏まえた上で今、その点についてどういうふうにご覧になっているのかっていうのがまず1点と、あと、足元では点検・検証についてその必要性はないということではあるとは思うんですけれども、ただ、安定的な2%が見えてきたときには、それは別に否定するものではないという理解でよろしいのかどうか、お願いします。 黒田:まず第1点ですけども、年初に比べますと具体的に企業収益が非常に引き続き高水準で続いていると。さらにはボーナスがかなり高水準で夏・冬と出てきたと。そして来年の春闘に向けて、労働側も使用者側も足元の物価上昇も踏まえて賃金交渉をするということを言っておられますので、そういうことを踏まえると、少しずつそちらのほうに向いていると。それから輸入物価の上昇の消費者物価への転嫁ですけども、これも従来にないほど転嫁は進んでいると。そういうことで、賃金・物価にある意味で同位が見られるようになってきたっていうことは事実なんですね。 ただ、今のところまだ、来年の1月の展望レポートで具体的に示すことになると思いますけども、来年度はやはり今年度よりも物価上昇率は低下していくと。で、2%に達するっていうような状況ではまだないと。従って、賃金の上昇を伴って持続的・安定的に2%が実現できるという状況にはまだなりそうもないと。ただ、物価についても成長についても上下双方向のリスクがありますので、その辺は十分注視して、随時、政策を見ていくということは必要だと思います。ただ、今のところYCCにしても大幅な金融緩和の政策にしても、それを直ちに見直すような状況になるようには思われないということであります。よろしいでしょうか。 【書き起こし】日銀・黒田総裁会見12月20日 全文3へ続く