なぜ横浜DeNAのラミレス監督は不振のオースティンを降格どころか3番で起用してハマスタ初G倒に成功したのか?
なぜか。ラミレス監督は、オースティンの横浜スタジアムでのデータを具体的に紹介し、まさかの3番起用理由を、こう説明した。 「オースティンの横浜スタジアムでの成績は、打率.378、4本塁打、12打点。他の選手と比べても高い数字を残している。彼がスランプなのは承知の上。ここから打ち始めてくれたらいい」 大和を今季初めて2番で起用し、サヨナラ勝利につなげた際もラミレス監督は、横浜スタジアムでの本拠地データを根拠にしていた。相手投手との相性や自身の調子より、そこまで本拠地データを重宝する理由は、「フィーリング」なのかもしれないが、プラスデータが、さらなるプラスデータを呼ぶというポジティブな連鎖を生みだしていることは事実。 「8番投手」やパットンのオープナー起用など、裏目に出る采配も少なくないが、この日は、2回の無死一、二塁の先制機に中井に堅実にバントで送らせ、倉本の先制タイムリーを呼び込むなど、“ラミ流”でくくるしかない独特の采配がズバリ的中したのである。 「オースティンのホームランは大きかった。これで彼は自信を取り戻す。その後の打席は結果が出ていない(二直と四球)が、いい感じの打席だった。彼には3番がベストだった。ここから上昇気流に乗っていける」 ラミレス監督は、そう予言した。 「彼自身は3割を打つ力があるし、ホームランも増やしていける。たくさんの外国人選手を見てきたが、僕の中では、まだオースティンがトップクラス。そういった選手には3番が居場所なのかなと思う」 今日19日からも続けてオースティンを3番で起用する考えだという。 5回に強風に打球を乗せて12号ソロを放った梶谷に、ソト、オースティン、現在の首位打者の佐野、宮崎と5番までの打順を固定できるのはベイスターズの強み。巨人にマジックが出た以上、遅きに失したがセ・リーグ屈指の攻撃力である。
投げては先発の井納が、6回まで巨人打線を松原、中島の2安打だけに抑え、7回をパットン、8回を石田とつなぎ、最後は、6点差があることから三嶋を温存して三上が完封リレーを締めくくった。 巨人は、この日から、体調不良の坂本と、軽い腰痛だった岡本をスタメンに戻したが、わずか3安打に沈黙させた。井納は、わずか78球で降板。マウンドを降りる際に、何か肘に異常を訴えるようなジェスチャーをしていたが、それを見たラミレス監督が「怪我? 2軍に行く?」と聞くと「大丈夫です」という返事が返ってきたという。 5回にアンダーシャツを着替えたときホットクリームを塗り過ぎたのが原因。 「そういうことをするのが井納です(笑)。(78球降板も)何も問題はない。彼は今シーズンを通して安定している。今日も素晴らしく安定していた」 ラミレス監督はジョークを交えて井納を絶賛した。 ちなみに井納は、これが通算50勝のメモリアル勝利だった。 まだ巨人とのゲーム差は「11」もあるが、横浜DeNAらしいゲーム展開で、今季の対巨人戦最多得点、初“完封“で、本拠地初勝利を飾り、貯金も「1」作った。2位の阪神が勝ったこともあり、巨人のマジックが「35」から減ることも食い止めた。 ラミレス監督は、「非常に大きい勝利だと思う。まだシーズンが終わったわけではない。まだ希望はあるので明日がすごく重要になってくる。この勢いを止めるわけにはいかない。しっかりと準備して、しっかり集中すること」と声を大にした。 19日のデーゲームからは政府の大規模イベントにおける人数制限緩和の方針に従い、横浜スタジアムでは、1万6000人に人数制限の上限を拡大してファンを迎え入れる。これまで封鎖していた外野席と、東京五輪に備えて2年かけて順に新設されたウイング席も解放される。新型コロナ感染予防のために引き続き大声を出しての応援は禁止されるが、横浜DeNAの強さの理由は、スタジアムがブルーに染まるファンとの一体感である。ラミレス監督も「ファンの方々に感動を与えるような試合にしたい」というが、それが無形の力になることは間違いない。 今日の先発は浜口で巨人は今村の左腕対決。ここまで4勝4敗の浜口は、今季巨人戦に3試合投げて1勝1敗、防御率4.50の成績だが、12日の中日戦の先発からストレートに力が戻ってきたことに手ごたえを感じている。 「勝つしかない。チームが勝っている状態で次のピッチャーにつなげたい」 浜口が奇跡の逆襲へ向けての”第2走”を務める。