老後の不安、介護の悩み...精神科医が説く「50代で陥りがちな問題」への対処法
Xフォロワー39万人突破の大人気精神科医Tomy氏。ゲイのカミングアウト、愛するパートナーとの死別、そして、うつ病の発症......苦しみぬいて得たその考え方は、多くの人にヒントを与えてくれる。『THE21』2024年10月号では、50代が陥りがちな仕事・お金・家族の相談事をTomyさんが解決。その温かくも、斜め上からの回答に、モヤモヤした悩みも一掃されるはずだ。(構成:辻 由美子) 【図】医師が語る、50代が健康診断で必ずチェックすべき「4つの数値」 ※本稿は、『THE21』2024年10月号特集「50代で必ずやっておくべきこと」より、内容を一部抜粋・再編集したものです。
悩んでいるうちは現状を変えなくていい
【仕事】 役職定年で責任ある仕事も任されなくなり、後輩が上司に。一気にやる気がなくなりました。 従業員数300人規模のメーカーで部長をしていましたが、55歳で役職を外され、部署異動になりました。給与が下がってモチベーションをそがれたうえに、7期下の後輩が自分の上司に。会社に行くのがつらいです。(56歳・男性)
――つらければ辞める。でもその決意がつかなければ「動くな」。―― 給与が下がって立場も変わるのは、ドライに言えば、会社に辞めろと言われているのと同じかもしれませんね。それに対してアナタがどう応えるのかという問題です。 今の状態で仕事をやりたくないなら辞めればいい。でもトータルに見て、本当に辞めたいのかは、ちゃんと見極める必要がありますね。 アナタの場合、定年まであと数年からせいぜい10年程度。定年まで勤めた場合と早期退職した場合の退職金や年金など色々考慮して、このまま在籍したほうがいいと納得できるのであれば、我慢して居続けてください。 辞めないと決意すれば、自分の状況にも諦めがつくので、給料が下がろうが、後輩が上司になろうが関係ない。精神的には落ち着きます。仕事以外のことに取り組んだり、喜びを見出したりして、会社ではルーティンを続けましょう。10年なんてあっという間ですよ。 一方、今の状況に納得できない、トータルで見ても辞めたいという気持ちが勝るのであれば、さっさと早期退職しましょう。 もっとも、一番多いのは、辞めるか辞めないか、決断できずに悩んでいる人ではないでしょうか。決断できないということは、まだ納得がいっていない証拠。精神科医的にアドバイスすると「動くな」が答えです。悩んでいるうちは現状を変えなくていい。無理して動かなくていいのです。悩まなくなったとき、人は勝手に動き出します。 もっともアナタの場合は、たかだか数年から10年くらいの話なので、悩んでいるうちに出口がやってくる気がします。その間、うじうじ悩んでいるわけですが、精神的にバランスを取るコツとして、「順番公平」と思うようにしましょう。 ある年齢に達すれば、多くの人がアナタと同じ立場に置かれます。給料が下がるのも、後輩が上司になるのも年齢的な問題。順番に公平にやってくることなので、恥ずかしいことでも、悔しいことでも何でもありません。 会社も「そろそろ定年だから自覚してね」という優しさで今のポジションを与えたのでしょう。そう考えると、特に恨む筋合いもない。「順番公平」にやってくる状況だと冷静に受け止め、静かに定年の日を待ちましょう。