老後の不安、介護の悩み...精神科医が説く「50代で陥りがちな問題」への対処法
老後のことは老後になってから考える
【お金】 老後のお金が全然足りません。「老後2,000万円は必要」と言われると、不安しかないのですが。 子ども2人が私大の大学生で、ボーナスはほぼすべて教育費で消えていきます。まだ家のローンも残っていて、生活もかなり切り詰めているのですが、老後に必要なお金を計算するとまだまだ節約が必要。安泰な老後を過ごせるのか、不安です。(53歳・男性)
――今から心配しても意味がない。手持ちのカードで何とかする工夫を。―― 老後のことは老後になってから考えましょう。今から考えても結局、皮算用にすぎません。アナタも老後まで生きるとは限りませんし、計画通り老後資金を貯めても、大きな病気をして予定が全部パアになる可能性だってある。戦争が起きて、円やドルの価値がゼロになることだってあるかもしれません。今までそういう歴史を何度も繰り返してきたではありませんか。 そもそも今の物価を基準にして、将来の生活費を計算すること自体がナンセンスです。将来いくら必要かなんて、誰にもわからないのだから、そのときになってから考えても遅くはないでしょう。 そうは言っても、もしそのとき、手もとにお金がなかったら困るのでは? と思うかもしれませんね。その場合は最悪、生活保護を受けてもいいと考えておけばいいのです。まさか今の日本で餓死することはないでしょう。 ぶっちゃけ、いずれみんな死ぬ。だったら、生活保護も含めて、色々な経験をしておいたほうが有意義だと思うのです。 そこまで開き直れず、どうしても将来の不安に目がいってしまう人には、今日一日を楽しむ癖をつけることをお勧めします。明日のことは考えない。今日一日をどうやって楽しく過ごすかだけを考えるのです。 それは手持ちのカードで何とかするという訓練にもなります。人はみな手持ちのカードでやりくりするしかありません。だったら、今のうちからその訓練をしておく。そうすれば、老後になってカードが少なくなっても、置かれた環境で今日一日を楽しく過ごす工夫ができるでしょう。 それに冷静に考えれば、老後にそれほどお金は必要でしょうか? 子どもはとっくに独立しているので、教育費はいらない。 自分自身についても、若いときと違って、未来の選択肢を広げるための出費は必要ありません。これから留学したり、大学院に入ったり、資格の勉強をするためにまとまったお金が必要、という人はほとんどいませんよね? 住宅ローンだけが気がかりですが、どうしても払えなくなったら自己破産すればいいのです。 老後は究極、自分ひとりまたは夫婦ふたりが食べるだけの食料と清潔なスペースがあればいい、とアテクシは思います。ミニマリストはその生き方を実践している人たちです。彼らはそれで十分幸せなのですから、老後はミニマリスト的に生きる。そうすればそれほどお金はいらないのではないでしょうか。 老後のために今から必ずこれをやらなきゃいけない、と思いすぎないことです。平均寿命までもうそれほど時間は残っていないと考えれば、今の今を楽しむことが大切です。