甲子園“不発”でも花巻東の“怪物スラッガー”佐々木麟太郎へのスカウト評価は不変…「ヤクルト村上宗隆の高校時代よりスイングスピードは上」の称賛の声も
無念の力負けだ。センバツ高校野球の5日目(23日、甲子園球場)に花巻東(岩手)の高校通算56発の注目のスラッガー、佐々木麟太郎内野手(2年)が「3番・一塁」で登場も、2三振、1死球の4打数無安打に抑えられ、市和歌山に4―5で敗れ初戦敗退となった。だが、スカウトの評価は不変で「スイングスピートはヤクルトの村上宗隆の高校時代以上」との大絶賛の声まで聞かれた。聖地で味わった悔しさをバネに来秋のドラフトまでにどう進化するのか。
豪快なフルスイング
舞台は整っていた。初回無死一、二塁。3番・佐々木の名がコールされると甲子園がざわついた。183センチ、117キロという超高校級の堂々とした体躯。特に、その大腿部の太さは、まるで巨木だ。2年春の段階で、すでにチームのOBで二刀流として昨季のア・リーグMVPを獲得したエンゼルスの大谷翔平がマークした高校通算本塁打56本に並んでいる。左打席に向かい、じっくりと足場を固める姿からは風格さえ漂った。一発が出れば、大谷超えだった。 だが、マウンド上の市和歌山の米田天翼(3年)はMAX149キロの今大会ナンバーワン右腕。横浜DeNAにドラフト1位指名された先輩の小園健太の薫陶を受け、昨春に甲子園のマウンドも経験している好投手は、佐々木のインサイドに弱点があることを調べあげていた。 「自分自身の制球が定まらない中で佐々木選手との対決だったんですけど、強気で長所のストレートでインコースをついた。押し切っていかないといけない気持ちで三振を取ることができました」 ことごとく怪物のバットが空を切る。フルカウントから見送ればボールの高めの140キロの釣り球の直球に手を出して豪快な空振りの三振。佐々木は思わずペロリと舌を出した。 「チャンスの場面だったので、とにかくつなぐ意識だった。狙っていた球ではあったんですけど、予想以上に高めに来て、手を出してしまった」 力みは抜けない。3回、先頭で迎えた第2打席では、4球オール直球勝負で挑まれ、ムキになったように工夫のないまま3球連続で高めのボールに手出して空振りを喫した。 「基本的に高めに入った甘い真っ直ぐをとらえていこうという風には映像もみて意識があった。相手投手は直球に伸びがあり、球速も速く、対応が遅れてしまった」