甲子園「無情の雨天コールド」にネット炎上…優先すべきは大会日程の消化ではなく選手の安全と健康ではなかったか
第103回全国高校野球選手権大会第5日は17日、1回戦1試合が行われ、大阪桐蔭(大阪)が東海大菅生(西東京)を7―4の8回表1死降雨コールドゲームで下した。降雨コールドは引き分け再試合となった第80回大会の専大北上(岩手)―如水館(広島)以来、23年ぶり。試合は、序盤から3発を見舞ったスター軍団の大阪桐蔭がペースを握ったが、反撃を開始していた東海大菅生にとっては無情の雨となり、泥沼状態の中での試合を強行した主催者側の判断を巡ってネットは炎上騒ぎとなった。優先されるべきは日程なのか、それとも選手の健康なのか。なお、第2試合以降の3試合は18日に順延。いまのところ19日以降の日程は1日ずつずれ決勝は28日に予定されているが、天候は不安定で先行きは不透明だ。
グラウンドは泥沼状態で転倒、バットのスッポ抜けも
しのつく雨の甲子園に無情の宣告が下された。1回戦屈指の好カードは東海大菅生が3点を追う8回一死一、二塁とチャンスを広げたところで一時中断となった。10時6分から32分間の中断後、審判団の協議が終わると球審がホームプレート付近に両チームのキャプテンを呼び寄せ、短く言葉を掛けた。 「ここで試合終了になるが、お互いによく戦い、いい試合をしてくれました。また甲子園で再戦できるように頑張ってください」 直後に球審は右手を上げ「ゲーム」と試合終了を告げた。 もはやグラウンドはプール状態。誰の目から見ても続行は不可能だった。 東海大菅生の若林弘泰監督はコールドの判断については「中断になったところで覚悟しました。中には泣き崩れる選手もいました。ただ、これだけ順延となる中、1試合でも多くこなしていかないといけないので、しょうがないですね」と悔しさを押し殺し、冷静に応対した。 5回ごろから雨脚は激しくなり、甲子園全体に白いもやがかかったようになった。 4回からリリーフした東海大菅生のエース左腕、本田峻也(3年)は、マウンドで足を滑らせ、2度も転倒したほど。その際、弾みでついた左手の泥をタオルで拭き取り、投球を続けた。6回から阪神園芸が水に強いと言われる特殊な砂をマウンドと、打席周辺に2度、3度と入れたが、さすがの“神整備”も追いつかない。内野グラウンドには水が浮き、一面、泥田のようになった。8回の東海大菅生の攻撃では、バッターの手が滑りバットがスッポ抜けてベンチ方向へ飛んだ。本田が三遊間に放った打球は、途中で勢いを失って止まってしまい内野安打になった。 「これでは野球になりません」と朝日放送のゲスト解説に呼ばれた”完全男”の松本稔氏(群馬県立中央中等教育学校)が警鐘を口にするほど。もはや野球のできる状態にはなかった。