榊原委員長「みんなで車を造っていない」日野自動車会見8月2日(全文1)
エンジン開発の技術力が不足しているのでは?
日経クロステック:日経クロステックの近岡と申します。よろしくお願いいたします。島本さんにお伺いしたいんですけれども、これって率直に言うと、日野自動車にエンジン開発の技術力が不足しているからっていうことじゃないんでしょうかっていうのが1点です。 もう1つは、お伺いしていると、できないと言えないとか、役員の方が無理に、なんて言うんですかね、開発を進めさせたっていうような、いわゆるパワハラと思われる事案を感じられるんですけれど、実際、日野自動車ではパワハラ体質っていうものがあったんでしょうか。以上です。 島本:じゃあ最初のご質問にお答えします。日野の、日野自動車のエンジンの技術力っていうことと今回のものっていうのは必ずしも直接つながっているというふうには考えておりません。今回の主に行われた劣化耐久における不正っていうのは、技術力がないからそこに至ったというよりも、適切なプロセス管理ができていないとか、そういうどちらかというとマネジメント系の課題のほうが大きいというふうに考えております。 もう1つは、規制の目標値に到達するためにエンジン部門だけではなくて車両トータルで開発ができていない。これはお手元の資料の中にも真因として書かせていただきましたけど、排ガスの目標値を達成するには、いろんな手法があるんですが、それを組織全体としてできていないということを課題として挙げさせていただいています。
技術力があれば不正に走る理由がないのでは
日経クロステック:すいません、今のご回答に対してなんですけど、そもそも技術力があるのであれば不正に走る理由なんてないんじゃないんですか。燃費が現実にこれ、あれですよね、規制値を満たしていない、排ガスにしても燃費にしても規制値を満たしていないわけですよね。規制値を満たすっていうのはエンジンの開発者にとって、これ釈迦に説法ですけど、とてもすごい大変なお仕事だと思います。私もそこはもうリスペクトしてるんですけど、でもこれ、結局これだけ未達ってことは技術力がないっていう証しじゃないんですか。プロセスさえ見直せばできるものなんですか。 島本:排ガス技術っていうのは、対応技術っていうのはそう単純なものではなくて、車両全体のいろんな技術の集合体として、そういうものを集積して目標に到達するんですけれども、その全体の目標に到達するためのプロセスを構築していくとか、いろんな組織が協力し合って目標に向かっていくとか、そういうことがあればできるレベルなんですね。だからもっと難しいところへいこうと思うとさらなる技術力って話になると思うんですが、今回の時点で言えばそういうレベルではないというふうに考えています。 あと2番目は、これも私からでいいのかな。パワハラ体質があったかなかったかっていうご質問ですけれども、これは報告書のほうに記載させていただいたように、ある程度のものっていうのがあったという認定はさせていただいています。企業風土として下から上に物が言えないっていう、そういう企業風土も影響して、上司の指示・命令に対して上意下達になっていたというところはわれわれの調査の中でも認定をさせていただいています。以上です。 日経クロステック:そうするとプロセスの問題であり、それをつかさどるマネジメントの問題であるっていうことですかね。 島本:そうですね。開発のプロセスマネジメントの課題っていうのもありますし、それをマネジメントする企業としての組織風土であるとか体質とか、そういうところが大きく関わってるというふうに考えております。 日経クロステック:ありがとうございました。 司会:それでは一番向こうの一番前の方、お願いいたします。