榊原委員長「みんなで車を造っていない」日野自動車会見8月2日(全文1)
世の中の変化に取り残されている
1つ目の真因であります、みんなで車を造っていないということからは、セクショナリズムが強く、組織が縦割りで、部分最適の発想にとらわれて、全体最適を追求できていない。職業的懐疑心や批判的精神に基づいて、開発のプロジェクトにおいて自由闊達な議論をしていない。能力やリソースに関して、現場と経営陣の認識に断絶がある。法規に関する情報収集をする部署、品質保証部門や、品質管理部門の位置付けや関わりが、みんなで車を造るという発想になっていない、などの現象が生じていました。 2つ目の、世の中の変化に取り残されているとは、過去の成功体験の大きさ故に、変化することや、自らを客観視することができず、外部環境や価値観の変化に気付かなかったということであり、この真因からは上意下達の気風が強過ぎ、上に物を言えない、できないことをできないと言えないという、風通しの悪い組織となっています。過去の成功体験を引きずり、できないことや、過去の過ちを認めることができない。また、問題点を指摘すると、自ら解決を担当させられて、他部署の助けが得られない。開発プロセスに対するチェック機能が不十分などの減少が発生していました。 3つ目の、業務をマネジメントする仕組みが軽視されていたという真因からは、開発プロセスの移行可否の判定が曖昧でありました。パワートレーン実験部が開発業務と認証業務の双方を担当していた、規定やマニュアル類の整備が十分ではなかった、役員クラスと現場との間に適切な権限分配がなされていないなどの現象が発生していました。 これらを受けて、当委員会としては日野に対し目指すべき車造りの在り方について議論を尽くすこと、品質保証部門の役割の明確化と機能強化、法規やルールの改正動向の把握と社内展開、開発におけるQMSを適切に構築し、その有効性を絶えずチェックし、必要であれば改善することなどを提言いたしました。私からの説明は以上です。 司会:それでは、続きまして質疑応答に移らせていただきます。できるだけ多くの皆さまからご質問を頂戴したいと思いますので、まずは1人2問でお願いいたします。最初に、会場でご参加の方から指名をさせていただきます。挙手をしていただき、ご指名されましたら、スタッフがマイクをお渡しにまいります。ご所属とお名前をお伝えいただき、ご質問を開始してください。それでは、質問のある方は挙手をお願いいたします。それでは、真ん中の列の一番前の方、お願いいたします。