「夫は仕事・妻は家事」 昭和→令和と時代は流れ”主婦年金”廃止論が浮上 専業主婦なら「年間約20万円の負担増」?…社会保険労務士が解説
主婦・主夫年金廃止論というものが浮上しているのを皆さんご存知でしょうか。この年金が廃止されると、専業主婦・主夫は年金を受け取るために年間約20万円の負担が必要になる可能性もあるということなんです。社会保険労務士・山口介衣子さんに解説していただきました。
そもそも年金を支払っている人は、大きく3つに分類されています。 ・第1号(自営業や学生など)、 ・第2号(会社員や公務員など)、 そして議論になっている ・第3号(2号に該当する会社員などに扶養されている配偶者で、年収130万円未満の人)です。 第3号にあたる人は、保険料を納めなくても老後の基礎年金を受け取れます。この制度が始まったのは1986年。当時は、夫は仕事・妻が家事というスタイルが主流でした。しかし時代は進み共働き世帯が増加。それに伴い、第3号被保険者の加入者は減少傾向にあります。 経済同友会は、この制度が男女間の賃金格差の要因になるほか、女性の働き控えを招いているとし、5年間の猶予期間を設け段階的に廃止することを訴えています。
共働きは35年で500万世帯増 「106万円の壁問題」で働き控えの声も
廃止すべきとされる背景には一体何があるのでしょうか。1つ目は「ライフスタイルの変化」です。共働き世帯数の推移を見ると、この制度が始まった1986年は専業主婦世帯が共働き世帯を上回っていました。ところが35年以上経った2022年の数字を見ると、共働きが専業主婦世帯を大きく上回っています。 2つ目に、各団体からの「不公平」だという声です。自営業をしている人の妻は保険料の負担がありますが、会社員や公務員の妻は保険料の負担がない。これは平等なのか?という声が上がっています。 そして3つ目の背景が「働き控え」です。社会保険料がかかる106万円の壁と130万円の壁という2つの壁。この壁を超えないように働くパートさんなどが多い、つまり主婦の働き控えに繋がっているので、その壁をなくそうじゃないかという動きが広がっているということです。
【関連記事】
- ▶【FP解説】「103万円」実は高い壁じゃない? 本当に手取りが減るのは「●●万円」 国民民主党の”アキレス腱”が抱える課題
- ▶“変動金利”引き上げで住宅ローンはどうなる? “固定金利”の方がお得なの? 気になるギモンに専門家が回答
- ▶【ABC特集】閑散期の夏のはずなのに…貴金属買い取り店が好調? 旅行代捻出にタンスの中を大捜索 “物価高騰”が及ぼす意外な影響
- ▶【ABC特集】「行くとこなかったら死ななあかん」「けんもほろろに断られる」住む家が借りられない高齢者 深刻化する“貸し渋り”の実態<前編>
- ▶【ABC特集】家賃上昇 保証人もいない・・・ 住む家が借りられない高齢者を支援する「居住支援法人」とは? 深刻化する“貸し渋り”の実態<後編>