人気集める家事代行の最前線 食事作らない「罪悪感」は消えたのか #昭和98年
前島CEOの狙いは当たった。サービスは2020年2月に販売を始めてから右肩上がりで伸びた。 2023年4月時点で累計700万食を提供。5月中旬から、東京・神奈川・千葉・埼玉に限定していた提供エリアを、関西~東北の一部まで26都府県へ大幅に拡大した。 エリア拡大を周知すると4000世帯以上が事前登録したという。
大型キッチンで味の「安定化」
最初は、東京の目黒区と渋谷区のみで行っている小さなサービスだった。作る場所もレンタルキッチンで、味を安定させられなかったという。 ただ、テストで提供していた30世帯の継続率が100%だった。
「これはお客様に刺さると思いました」 販売開始に向け、自社キッチンを構え、一定の味で大量の総菜を作ることができる体制を整えた。 現在は都内3カ所の自社キッチンで各地へ配送する総菜を製造する。 そのキッチンの一つを取材した。
清澄白河(東京都江東区)の450坪の大型キッチンでは、毎日70~80人が調理に携わる。 食材の下ごしらえ、調理、梱包の3エリアに分かれ、各エリアに担当者がいて、人は移動せずに食材のみが移動することで、食中毒のリスクを抑えている。
エリアを巨大冷蔵庫で区切り、下ごしらえや調理を終えた食材はすぐに冷蔵。 熱々のものでも急冷することで、さらに食中毒のリスクを減らす。
つくりおき.jpは風味の維持や取り分けできる自由度を踏まえ、「冷蔵」での総菜提供にこだわっている。 そのため、食中毒を起こさない工夫を徹底しているのだ。 遠方に配送するとなると「冷蔵」の配送ができるのか心配になるが、これは容器と充填方法を変えることでクリアできたという。
「目指しているのはちょっと手間がかかっている家庭料理。 自分で作れるほど簡単では魅力を感じてもらえないし、手が込みすぎているとハレの日の食事みたいになる。 毎日食べても飽きないメニューを試行錯誤しています。」