人気集める家事代行の最前線 食事作らない「罪悪感」は消えたのか #昭和98年
食事のアウトソース化で夫婦のストレスが減少
「食事をストレスに感じることが減りました。息子が、なかなかご飯を食べなくて大変なので、自分たちの食事についてまでストレスを感じたくない。 そもそも家庭を運営する上で、夫婦でストレスに感じることをできるだけ減らしておきたい。 妻も働いていますし、毎日自分のために作ってほしい、とは全く思わないですね」
ほぼ全ての食事をアウトソースすることに抵抗はなかったのか。 「優先順位の1番は夫婦仲が良いこと。お互いに嫌いになりたくないし、イライラしたくない。世代もあるかもしれません。 『共働きで妻側の家事負担が大きすぎることが家庭の崩壊につながる』という報道に若い時からたくさん触れてきましたし、40代ぐらいの方からも似た話を聞いてきました」
「そのため、自分はそうはならないぞ、という気持ちが強いのかもしれません。また、個人的に家庭の味、母親の味、そういうものにこだわりもありません」
ミールキットの手間はもう不要になった?
Mさんが利用している「つくりおき.jp」を運営する「Antway」の代表取締役社長CEO・前島恵氏は「食事を作らないことについての罪悪感は、今や幻想」と話す。 サービス開始直後に、利用者約50人へインタビューしてわかったことがあったという。 「罪悪感を持つのは自信をもって出せないものを食卓に並べることであって、作らないことではなかったんです。 栄養バランスがとれていて、安心できる材料で、おいしい食事を並べられるのであれば、自分が作ったかどうかは関係ないという回答を得られて、なるほどと思いました」
「例えば『ミールキット』ってありますよね。自分も小学生ぐらいから使っていた素晴らしいサービスだと思います。 材料も調味料もセットになっていますが、わざと調理の手間を残してある」
「作らないことによる罪悪感を排除するためなんですが、我々は、その手間もいらないと思っています。 求められているのは何もしなくても目の前に毎日のご飯が現れることです」