“タイパ”重視、顔文字チャットにWスクールも…通信制高校を選ぶ生徒たち
新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類に移行し、世の中もオンラインからリアルの活動に回帰しつつある。そんな中、インターネットなどを活用した通信制高校は、生徒数がここ20年増加傾向にあり、コロナ禍の昨春には伸び率が前年の約1.7倍にも増えた。なぜ通信制高校を選ぶ生徒が増えているのか。通信制高校に求められるものはどう変わったのか。生徒や学校関係者に聞いた。(文・写真:サイエンスジャーナリスト・緑慎也/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
授業中のチャットにずらりと並ぶ顔文字
「称賛を送りたいときは“888”(パチパチパチ)、発言したいときには“(^o^)ノ”などの顔文字がチャット欄にずらりと並びます。私語厳禁の対面授業と違って、思いついたことを何でも言えるんです」 学校法人角川ドワンゴ学園S高等学校3年のみとさん(神奈川県在住)は、オンライン授業のほうが対面授業よりも断然いいと声を弾ませる。
「面白いコメントをしたいから生徒は授業を真剣に聞くし、先生もコメントを拾って授業を盛り上げる。オンラインのほうが集中したり、生徒が楽しめたりする授業を作りやすいんじゃないかと思います」 コロナ禍でも学びを止めるな──。このかけ声とともにインターネットを活用したオンライン授業は日本の教育界に急速に広まったが、感染拡大防止策の緩和が進むにつれ、多くの学校が通常のリアル授業に回帰しつつある。 一方で、冒頭のS高をはじめとする通信制高校では、今なおオンライン授業がカリキュラムの中で重要な位置を占めている。 1990年代以降、通信制高校の生徒数は増加傾向にある。私立に限れば2018年以降、毎年1万人以上増えてきた。コロナ禍が続く2022年度は公立私立合わせた274校で23万8267人に達し、前年度と比べて約2万人、前年の約1.7倍の大幅増となった(学校基本調査2022年12月)。今や高校生の約13人に1人が通信制高校に在籍する計算だ。 コロナ禍でなぜ通信制高校の生徒は急増したのだろうか。