なぜケンブリッジ飛鳥は自己新10秒03で復活Vを遂げたのか…背景にフィギュア高橋大輔の”専属相棒”との肉体改造
ケンブリッジは武器にしてきた後半の走りを課題に挙げていた。そして福井の決勝で、後半の走りが鋭さを取り戻す。 「予選の後半はうまく乗り込めなかったのを少し感じていたんですけど、決勝は自分のレーン、自分の走りに集中できました。後半部分も予選と比べて、うまく乗り込めていけたのかなと。脚がしっかり前に出た感覚はありましたね。それに昨シーズンは上半身と下半身がバラバラに動いていたんですけど、今日は上半身と下半身の連動も良かったと思います」 日本選手権の5週間前に9秒98の自己ベストを持つ桐生と小池を撃破。桐生が3年前に日本人初となる9秒台を刻んだ9.98スタジアムでの激闘を制して、27歳になったケンブリッジが再び、日本スプリント界の“主役“を奪える位置まで再浮上してきた。 「僕は自分の納得する走りをしたかった。それだけです。こういうハイレベルな大会で優勝するのも久しぶりだったので、ここまで戻ってこられて良かったなという気持ちがあります。本当に苦しい期間が長く続いたので。9秒台ですか? すでに3人も出しているので、自分のペースでやっていきたい。ただ、今回久しぶりに自信を持って9秒台が見えてきたのかなと言えるようになりました。コンスタントにいい記録で走っていけば、おのずと狙っていけるのかなと思います」 次のレースは9月6日に山梨で行われる富士北麓ワールドトライアル。今度は200mにエントリーしている。 「ずっと出る出る詐欺をしていたんですけど(笑)、今回は本当に出ます。練習の一環でもありますし、200mをどれくらいで走れるのかも知りたい。自己ベスト(20秒62)は更新したいなと思っています。学生時代(大学2年時にマーク)から止まっているので。あと100mのウォームアップレースに出させてもらえるなら出ようかなと思っています」 東京五輪が1年延期したことで、チャンスが広がったケンブリッジ。その存在は日本スプリント界のレベルをさらに押し上げることになるだろう。 (文責・酒井政人/スポーツライター)