なぜケンブリッジ飛鳥は自己新10秒03で復活Vを遂げたのか…背景にフィギュア高橋大輔の”専属相棒”との肉体改造
今季はヒゲをたくわえたビジュアル面だけでなく、フィジカル面も大きく変わっていた。昨シーズン終了後からフィギュアスケート・高橋大輔の専属トレーナーを務めていた渡部文緒氏の指導を受けるようになり、肉体改造に乗り出したのだ。 「体重でいうと、一番カラダが大きかったときよりも2キロぐらいは落ちているのかなと思います。カラダが絞れて、筋肉をコントロールできるようになってきたんです。カラダを思い通りに動かせるようになってきたイメージですね。また重心の位置や細かい筋肉もトレーニングの段階から意識するようになりました」 筋肉を自在に操ることができるようになったことで、苦手にしていた「低い姿勢から力を出す」ことも容易になった。この動きが改善されたことで、今季はレースパターンも進化した。10秒08をマークした2017年と今の走りはまったく違うという。 「前半すごく楽に入っていけるようになったんです」とケンブリッジ。 従来は前半に出遅れながらも、後半の強さで勝負してきた。それが今季は序盤からスムーズな加速を見せているのだ。 初戦となった7月の東京選手権は10秒22(-0.8)の大会新で優勝。5日前のセイコー・ゴールデングランプリでも前半の走りが目を引いた。桐生と同じ3組に入ると、序盤から終盤まで競り合った。桐生が10秒09(+0.7)、ケンブリッジが10秒11。決勝も桐生に0秒02差で敗れたが、序盤からふたりは並ぶように駆け抜けた。 「予選はある程度、目標にしていたタイムで入れたんですけど、決勝(10秒16)は少し物足りない感じで終わっちゃったのが残念ですね。後半はいいかたちで走ることができませんでした。それは東京選手権でも感じていた部分です。本来なら少し乗り込んでいけるところで、腰が抜けるようなイメージがあった。そこを修正できれば、ラストはもう少しいい走りができるかなと思っています」