激戦の東京五輪男子100m切符争いに異変?…9秒台出ずとも桐生祥秀が大会1年前に新国立で優勝した意味とは
新型コロナウイルスの影響で陸上競技は多くの大会が中止・延期に追い込まれている。そのなかで23日に行われた「セイコー・ゴールデングランプリ東京2020」は日本陸上界にとって久しぶりのビッグイベントだった。しかも、舞台は来夏に延期された東京五輪のメインスタジアムとなる新国立競技場。無観客開催でもアスリートたちの熱気が十分に伝わってきた。 一番の目玉種目は男子100m。米国フロリダ大に在籍している9秒97の日本記録保持者のサニブラウン・アブデル・ハキームは不出場も有力選手がズラリと顔を揃えた。 9秒98の桐生祥秀(日本生命)と小池祐貴(住友電工)、10秒00の山縣亮太(セイコー)、10秒07の多田修平(住友電工)、10秒08のケンブリッジ飛鳥(ナイキ)。大混戦での”9秒台決戦”を期待されたが、有力選手の走りはバラつきが見られた。 予選1組には山縣と多田が登場するも、東田旺洋(茨城陸協)にトップを譲り、多田が10秒38(-0.3)で2着、山縣は10秒42で3着。山縣は予選で姿を消すことになる。予選2組の小池も10秒39(+0.7)の2着通過だった。 予選3組に入った桐生とケンブリッジはともに好走する。ふたりは序盤から終盤まで競り合い、桐生が10秒09(+0.7)、ケンブリッジが10秒11でフィニッシュ。特に桐生は軽々と走り抜けた印象だった。 予選から約1時間半後の決勝。6レーンの桐生と5レーンのケンブリッジが中盤で抜け出すと、予選と同じように競り合いながらゴールへ向かう。桐生が10秒14(-0.2)で優勝、ケンブリッジが10秒16で2位。10秒30を切ったのはふたりだけで、多田は10秒37で6位、小池は10秒53で8位だった。 桐生は8月1日の北麓スプリントで10秒04(+1.4)をマークしており、今季2戦目でもしっかりと結果を残した。 「今年はレースを何本走れるのかわからないので、1本1本を重視しています。そのなかで勝ちきれたことは大きいし、自信になる。大きな収穫です。予選と決勝の間が短かったですけど、自分の走りができたかなと思います。(決勝の10秒14も)全然遅いタイムではない。今季は課題にしてきた中盤から後半にかけての走りはできています。ただ、もっと前半はいけると思うので、次の大会で改善したい」