福井に”陸上奇跡の夜”が再び起きるのか…クラファンで一部資金調達の「アスリート・ナイトゲームズ・イン福井」は地方発信イベントのモデルケースだ!
地方は全国的なスポーツイベントが多くない。しかし、福井県が昨年8月、画期的な陸上競技大会を開催して全国から注目を浴びた。それが、今日29日、福井県福井市の「9.98スタジアム(福井県営陸上競技場)」においてナイターで第2回大会が開催される「Athlete Night Games in FUKUI」だ。 その夜は伝説になった。 最初の“花火”は男子走り幅跳びだ。日本歴代2位の記録を持っていた橋岡優輝(日大)が1回目に8m32(+1.6)を跳び、日本記録(8m25)を27年ぶりに更新。その約30分後、城山正太郎(ゼンリン)が自己ベストを一気に39センチも塗り替える8m40(+1.5)の大ジャンプを繰り出したのだ。ふたりのバトルを報じたスポーツ紙の記事はヤフーニュースのトップを飾った。 さらに男子110mハードルでも高山峻野(ゼンリン)が13秒25(+1.1)の日本記録を樹立。一夜にして日本新が3つも誕生した。それだけでなく、女子100mハードルで寺田明日香(パソナグループ)が13秒00(+1.4)の日本タイ記録。最後は男子100mで桐生祥秀(日本生命)が10秒05(+0.9)の好タイムで締めくくった。 「Athlete Night Games in FUKUI」は日本グランプリシリーズに指定されているわけではなく、福井陸上競技協会が独自開催する大会だ。 「音楽を流して、フェス感覚のような大会をやりたい」という選手の声を聞いて創設。その資金はクラウドファンディングで募った。 陸上界でクラウドファンディングを活用して大会を開催する例はほとんどなかったが、新たな取り組みの狙いを福井陸協の吉田敏純氏はこう話す。 「通常は広告などで企業さまに協賛いただいて、大会を運営します。でも、それだと長続きしません。東京五輪が終わるとスポーツの置かれる状況が危うくなる可能性もあります。日本インカレと国体でたくさんの観衆に来ていただいて、すごく盛り上がった。福井にも陸上ファンはこんなにいるんだなと思い、その力をお借りして、ファンの皆様と一緒に大会を作っていこうと考えたんです」 福井県は2017年に日本インカレ、2018年に国体の会場となっている。日本インカレの男子100mでは桐生が日本人初の9秒台をマーク。翌年には福井運動公園陸上競技場の愛称が「9.98スタジアム」になった。福井は陸上大国とはいえないが、2つの大会を終えて、県内の競技人口は増えているという。