4階級制覇王者の井岡一翔は本当に「日本人ジャッジ3人」の恩恵を受けてV3に成功したのか?
一方、人生をかけた大一番に敗れたロドリゲスは、採点に不満を訴えた。 「自分のホームではないので、こういう採点になるかもしれないという覚悟はあった。ジャッジは3人とも日本人。レフェリーが仕事をしてくれていたら勝てていたと思う。井岡のクリンチをほどいてくれないし、後頭部へのパンチも見逃された。ジャッジがニュートラルだったら採点結果は違っていたと思う」 異例ともいえる日本人ジャッジ3人にレフェリーも日本でプロライセンスをとったビニー・マーチン。挑戦者が不満を口にするのも理解できる。ネット上でも「日本人3人ジャッジ」への批判の声も多かった。 しかし、これは敗戦リスクを減らすために陣営が恣意的にしたわけではなく、新型コロナ禍で海外からジャッジ、関係者を呼べないゆえの特別な措置。しかも、日本人ジャッジは、一部の海外ジャッジに比べると清々しいほどフェアである。途中、ロドリゲスの方が、ホールド気味に井岡の左腕を固めていたしレフェリングが問題になるほどの“反則クリンチ”もなかった。同じ4ポイント差でも振り分けラウンドは割れていたし防衛成功に疑念を投げかけられるような判定ではない。 井岡も、「日本にいても調整が難しいのにましてメキシコからきて体重を落とし調整することは凄く難しいこと。タイトルを死にモノ狂いで命をかけて取りにきていた」と挑戦者へのリスペクトを忘れていなかった。 さて苦しみながらも指名試合をクリアした井岡の今後のロードである。 「記者の皆さんは、わかっていると思うが、AとCはロマゴンとエストラーダが試合をするようなのでIBFしかない。そこをとりにいく。ジムには意思を伝えている」 IBF世界同級王者、アンカハスとの統一戦を大晦日の舞台で行いたいことを初めて公言した。井岡の説明通りに、当初、熱望していたWBC世界同級フランチャイズ、WBA世界同級スーパー、統一王者のファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)がローマン・ゴンサレス(ニカラグア)と再戦することが決定。しかも、勝者はWBCのレギュラー王座決定戦を戦う前王者のシーサケット・ソールンピザイ(タイ)と元王者のカルロス・クアドラスの勝者との統一戦を行わねばならないため、井岡に順番が巡ってくるのは、まだまだ先。となるとターゲットはIBF王者しかなく「ベルトを2本取って、2本持った同士でやろうよ」という目算がある。 だが、アンカハス陣営は、世界的ネームバリューが足りない井岡戦には、乗り気ではないとの海外報道もあり、井岡自身も「実現するかどうかわからない」と話す。