泥沼…なぜJBCは井岡一翔ドーピング騒動の謝罪文を2度公式HPに掲載したのか…背景に井岡、田中両陣営の「責任無き謝罪」拒否
日本ボクシングコミッション(JBC)は28日、公式ホームページ上にドーピング疑惑問題で世間を騒がせた4階級制覇王者でWBO世界スーパーフライ級王者の井岡一翔(32、Ambition)と大晦日のタイトル戦の対戦相手だった元3階級制覇王者、田中恒成(25、畑中)の両陣営に対しての謝罪文を掲載した。 永田有平理事長名での謝罪文は、「ずさんなドーピング検査を行い、この間違った検査に基づく情報が意図せず流失してしまいました。このことにより、井岡一翔選手があたかも禁止薬物を摂取しているかのような報道がなされ、類い稀なるボクサーとしての名誉が著しく傷つく結果となり、かつご家族及び関係者の皆様には多大なご心労をおかけし、大変申し訳なくお詫び申し上げます」と、井岡へのお詫びで始まり、続けて「対戦相手の田中恒成選手と関係者の皆様、そしてボクシングファンの皆様に多大なるご迷惑とご心配をおかけしましたことについてもお詫び申し上げます」と田中陣営らへ謝罪した。 また今回JBCが下した判断が、タイトルを管轄するWBOにも承認されたことも明かされた。 大晦日のタイトル戦のドーピング検査で井岡の尿サンプルからドーピング禁止物質が検出されたが、JBCは、それらの事実を井岡陣営に伝え、異議申し立ての場を与えることをせず、あろうことか警察に話を持ち込み再検査に必要なB検体を押収されてしまう失態を犯した。また週刊誌にスッパ抜かれるまでプレス発表なども行わず情報を“隠蔽”。対戦相手の田中サイドにも事情説明を行わなかった。 事態を重く見たJBCは、第三者による倫理委員会を立ち上げて、今回のドーピング問題の調査、審議を依頼。その答申書内容は、JBCによる検体の管理が不十分だったために腐敗して、禁止物質が生成された可能性が否定できないという“シロ判定”で、併せてJBCの手続き上の瑕疵を厳しく断罪していた。 その答申を受けてJBCは19日に理事会を開き「井岡選手のドーピング違反はなかった。よって処分はなし」との結論を出して同日、記者発表をした。答申書では、ドーピング規定の見直しなどの提言もまとめられており、28日に掲載された謝罪文でも、「JBCはこれらのご提言を真摯に受け止め、今回のようなことを二度と繰り返さぬよう、JBCにおけるドーピング検査体制、情報管理などを早急に改善いたします。JBCはスポーツマンシップに基づきフェアに真剣勝負を行っている選手を守り、公正な試合運営を守っていく組織であり続けたいと考えております。この考えに反するような今回の一連の行動につきましては心より反省し、今後改革して参ります」とある。 JBCは、すでに20日に公式ホームページ上にドーピング疑惑騒動の経過報告を含めた“お詫び文”を掲載したが、今回、1週間も経過してから改めて2度目の謝罪文を掲載した。異例の2度目の謝罪文が掲載された背景には、井岡、田中両陣営の“謝罪拒否”がある。