4階級制覇王者の井岡一翔が今日注目V3戦…JBCは“ノーモア・ドーピング騒動”体制で世界戦実施
WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ(1日・大田区総合体育館)の調印式並びに前日計量が8月31日、都内で行われ、王者の井岡一翔(32、志成)と挑戦者の同級2位、フランシスコ・ロドリゲス・ジュニア(29、メキシコ)がいずれも一発でクリアした。井岡はドーピング騒動に巻き込まれた大晦日の元3階級制覇王者、田中恒成(26、畑中)との防衛戦以来のV3戦。ローカルコミッションとして世界戦を統括管理するJBC(日本ボクシングコミッション)はドーピング騒動を起こした当事者である永田有平理事長ら関係者4人を会場“出禁”とし、検体の管理を徹底し試合後にドーピング検査を行う体制を固めた。“ノーモア・ドーピング騒動”で井岡のV3戦が実施されることになる。
「何かを伝える試合をしたい」
髪の毛をコーンロウに編み上げ、臨戦態勢を整えた井岡は、リミットぴったりの52.1キロで計量をクリアした。 「コンディションも問題ない。試合ができることがありがたい。感謝して戦う気持ち、そしてやる以上は必ず意味をなさないといけないと思う。見てもらっているみなさんに何かが伝わる試合をしたい」 新型コロナの感染拡大で試合は、急遽、無観客となったが、「どんな状況でもやるべきことは変わらない」と語り、計量後はロドリゲスに求められて握手を交わした。 前日のPCR検査でも両者共に陰性。当日までホテルで隔離となるが1カ月ほど前から導入している水素吸入器を持ち込むという。 一方のロドリゲスは、400グラムアンダー。井岡と同じくミニマムから階級を上げてきたボクサーで、7年前のWBO世界ミニマム級王者時代には、IBF世界同級王者の高山勝成と統一戦を行い判定勝利しているが、井岡と並ぶと体格で見劣りした。現在、15連勝中で勢いはあり、メキシカン独特のリズムで、ここぞという場面での連打力もある。だが、スピード、パワー、カウンター技術などのすべてで井岡が一枚上。プレッシャーが邪魔さえしなければ、指名試合とはいえ難敵とは言えない相手ではある。 それでも新型コロナ禍の日本に隔離期間があることを承知で上陸してきた挑戦者は、「井岡はとてもいい準備をしていると思うが、私はそれを上回る準備をしてきた。メキシコのボクサーは心で戦う。私たちは戦士。目標を持って戦っている。タイトルを獲るために3か月以上準備をしてきた」と、気合の鉢巻きを巻いた。