エッグベネディクトは米ヒルトン発祥、ではナポリタンは? 「元祖」の3ホテル探訪
連載《とっておきの旅》
ホテルの記憶に残るサービスやシグニチャーメニューは、歴史の中で出来上がってきたものが多い。例えば、ルームサービスは米国ヒルトンの最上級ブランドホテルで1930年に生まれた。日本初の外資系であるヒルトン、国際都市横浜のシンボル・ホテルニューグランド、日本の迎賓館を目指す帝国ホテル、歴史が物言う3つのホテルの事始めをたどれば、訪れるのがますます楽しくなるに違いない。 【写真はこちら】エッグベネディクト、スイーツビュッフェ、スパゲッティナポリタン…「これぞ元祖」の姿をチェック!
■世界初、日本初が目白押しの米ヒルトン
2019年に創業100周年を迎えた米国ヒルトン。創業者コンラッド・ヒルトンが米テキサス州でホテルを購入したのが源流である。日本への進出は1963年。日本初の外資系ホテルチェーンとして「東京ヒルトン(現ヒルトン東京)」を東京・永田町に開業した。 ヒルトンは、創成期からアイデアを生かした取り組みが多い。例えば、ヒルトンの名前を初めて冠した「ダラス・ヒルトン」では1925年の開業時にはまだエアコンが発明されていなかったが、エレベーターやランドリーシュートなどを西側に配置することで、どの客室も西日が当たらないように工夫したという。 その後1927年、パブリックエリアに業界で初めてエアコンを設置(テキサス州、現「ヒルトン・ウェイコ」)。1947年には世界で初めて客室にテレビを置いた(ニューヨーク、「ルーズベルトホテル」)。
■サラダ名にもなった「ウォルドーフ」ブランド
ヒルトンから始まったというメニューも多い。「ウォルドーフ・サラダ(リンゴやセロリにクルミの砂糖漬けを加えたサラダ)」をはじめ、今や一般に広まっている「エッグベネディクト」(トーストしたエッグマフィンにベーコンとポーチドエッグを乗せ、オランデーズソースをかけたもの)なども、ヒルトン最上級ブランドとしてニューヨークで開業した「ウォルドーフ・アストリア」で生まれたものだ。 各メニューは今もオリジナルのレシピを基に各地で作っている。2025年、大阪市に同ブランドとして日本初進出予定なので、国内で味わえる本物の味が楽しみだ。 国内外資ホテルチェーンの草分けであるヒルトンが日本で他社に先駆けて提供を始めたサービスも多い。スイーツ好きにはたまらない「スイーツビュッフェ(当初はデザートビュッフェ)」は、1984年に東京・永田町から新宿への移転開業に合わせて始めた。ライブキッチンやワゴンサービスも登場するヒルトンの名物だ。 また、1963年の開業時からホテルの社員としてソムリエを採用。これは日本のホテル業界で初のソムリエ配置だった。