寝たきりでも仕事ができる時代へ―分身ロボットが作り出す“役割”と“居場所”
2021年6月に東京・日本橋にオープンした分身ロボットカフェ「DAWN」。このカフェでは、「OriHime」というロボットが接客しています。ロボットを操縦する「パイロット」は、全国各地にいる病気や障がいで外出困難な人たち。OriHimeを介したパイロットとのコミュニケーションを楽しむお客さんが、連日多く足を運んでいるのです。 OriHimeを開発したのは、ロボット研究者の吉藤オリィさん。小学5年~中学2年生まで不登校状態だった時に、遠隔でも授業が受けたいと考えたことがきっかけで分身ロボットを開発しました。吉藤オリィさんは、カフェを訪れると、人の孤独を解消するには「役割」が必要だということに気付かされると言います。また、「これからの時代は“我慢弱い”ことが武器」と語るその理由を伺いました。(聞き手:荻上チキ/TBSラジオ/Yahoo!ニュース Voice)
外出困難者が分身ロボットで接客
――2021年6月に分身ロボットカフェ「DAWN」をオープンされました。反響はいかがですか? 吉藤オリィ: 普通のカフェでは起こらないような不思議なコミュニケーションの場になっているなと思います。このカフェでは、OriHimeを操作する外出困難者のパイロットが、接客の際に自己紹介をして、iPadで写真などを見せたりすることができるんです。寝たきりで操作していることを知ったお客さんは「こういう病気があるんだ」「どうやって操作してるの?」と興味を持ってくれるし、あごで操作していることを知って驚く。自然なコミュニケーションの中で、相手のことを知ることができるんです。
お客さんはただカフェで接客を受けただけで、病気のことを勉強しにきたわけでもないし、そういった病気を抱える人のために何か良いことをしたつもりもない。OriHimeを介したパイロットとのコミュニケーションがただ楽しくて、自然と「この人に会いたいから、また来るよ」という関係性ができるんです。人を目的に会いに来る、美容院に近いお店かもしれないですね。