なぜ阪神は球団史上初の本拠地開幕3連敗を喫したのか…後手を踏んだ継投策と“新4番”佐藤輝明の好機ブレーキ
23イニング無得点は佐藤一人の責任ではない。 1番の近本は、3戦で打率.167。ここ数年続いている“春先スランプ“の兆候がある。新型コロナの影響で開幕がズレた2020年は6月の打率が.128、昨年も3、4月の打率が.222と元々はスロースターター。今年は対策を練っていたと聞くが、今のところ効果は出ていない。 3番のマルテは、この日、ようやく初ヒットが出たが、上体でボールを迎えにいっており、“打撃のカタチ”が悪い。打線が不振の場合、機動力を使って打破したいが、4回、先頭の糸原が四球を選ぶがベンチが動く前に糸井が併殺打。5回も一死から近本が四球で歩くも、中野が早いカウントで打ちにいき投手ゴロ。高梨がお手玉して走者を進めることはできたが、機動力でかき回すことはできなかった。 高代氏も、こう分析した。 「開幕戦のヤクルト先発・小川の出来はあまりに悪すぎた。ある意味、攻略して当然で、4番から3人並んだ左打者が、第2戦の左腕・高橋をどう打つかがポイントだと思っていたが、やはり苦労した。ストレートに力があり、コースを投げ分けしてくるような投手は、どんなチームでも、そう簡単に打てるものではないが、特に阪神はストレートに力がある投手に弱い。春先に調子の上がらない近本、そしてマルテが本調子でないことも響いている。本来ならば、機動力を駆使したいが、開幕戦では初回に動き、近本、中野が連続して盗塁に失敗した。動かなくていいところで動き、動くべきところで動かないなどベンチワークにもチグハグさが見える」 明日29日からは敵地に乗り込んで広島との3連戦。西、伊藤、秋山の3人をぶつけるが、広島は横浜DeNAとの開幕カードで3連勝して勢いに乗っている。不動の4番だった鈴木誠也の穴が不安視されていたが、3試合で合計28得点を奪うなど打線が爆発。開幕戦で先制タイムリーを放ちヒーローインタビューに指名されたルーキーの末包や、センターでスタメン起用されて結果を出した上本らの“ラッキーボーイ”が出現しているのも阪神にとって嫌なデータである。 2020年は、巨人との開幕カードに3連敗、結局、2勝10敗とスタートダッシュに失敗したことが、終盤に追い上げ2位に食い込んだ阪神が優勝を逃す大きな要因になった。同じ過ちは繰り返したくはない。(文責・論スポ、スポーツタイムズ通信社)