「悪魔の前での失敗」にトイレで泣いた20代を超えて――TBS江藤愛アナを支えるもの
ナレーションのたった一言でも心をこめて向き合いたい
TBSの看板アナウンサーと言われることについては、本人が一番意外に感じているという。 「アナウンサーって、皆さんそれぞれ自分の特技や得意分野があって、個性の強い人が多いですよね。ツイッターやインスタも、すごいなあって見ています。私にはそういう特技みたいなものが、何もないんですよ。じゃあどうして、私がアナウンサーという仕事をずっと続けていられるかと考えてみれば、ありがたい環境にいるからですね」 周りの人たちに助けられて、今の自分がある。 最近、スタッフから嬉しい言葉をもらったという。 「打ち合わせで、『江藤は俺たちの中で、スタジオにいる最前線のディレクターなんだ』と。アナウンサーって、場合によってはゲストっぽく思われることもあるんですが、スタッフの一員として認めてもらえたことがとても嬉しかった。共演者、スタッフの思いを視聴者に伝える役割として、私も必要とされていると励みになりました。やっぱり、仲間の存在は大きいです」
視聴者のテレビ離れも伝えられる今、アナウンサーとして何を思うのか。 「メディアが変化していくのは仕方がないことなのかもしれません。ただ、私にとって、テレビは一番のエンタメで、喜びや悲しみ、いろんな感情を教えてくれた大切なもの。ずっと忘れられないドラマやCMのワンシーン、夢中になった音楽番組……いつもそこにあったテレビが、私はやっぱり大好きなんですよ。その思いを、一人でも多くの人に伝えられたら」 アナウンサーとして一番大切にしていることは、「心を込めること」。 ただ伝えるだけではなく、一つひとつのニュースに対して、自分自身がどう感じるか、ちゃんと意識していたい。 「心を込める、共感するということが正解なのかは、いろんな人の見方があるとは思いますが、私は、ナレーションのたった一言でも心をこめて向き合いたいと思うんです。そしてそれが、今の私の幸せです」 スーパー会社員江藤愛は、今日も早朝から活動を始めている。 突然の寿退社というびっくりニュースはしばらくなさそうだが……はたして。
江藤愛(えとう・あい) 1985年、大分県日田市生まれ。青山学院大学文学部英米文学科卒業後、アナウンサーとしてTBSに入社。『CDTVライブ!ライブ!』『ひるおび』、『THE TIME,』、などを担当。2021年には課長に相当する「エキスパート特任職トップスペシャリスト」に昇進。異例の早期昇進と話題になった。趣味はミュージカル・舞台・歌舞伎鑑賞。パン作りのライセンスを持つ。