実は知らないことが多い!?執事服にまつわる意外な事実
漫画やアニメからの人気もあり、2010年以降から「執事」という名前の知名度はより上がっていった。 90年代から2000年代初めは、執事といえばどことなく初老のイメージがあったが、最近では漫画『黒執事』のセバスチャンのような、スタリッシュなイメージがあるのは筆者だけではないはずだ。 しかし、一般的に「執事」と関わることがある人はそう多くはないだろう。はたして、「執事」は本当に漫画のような服装を普段からしているのか?また、着こなしに細かいルールなどはあるのだろうか?筆者の尽きない好奇心に、全日本執事協会のベルさんが丁寧に答えてくれた。
TPOに応じてさまざま…執事服の基本のスタイルとは?
今回、取材に応じてくれた全日本執事協会のベルさんは、同協会の3代目・会長となる。意外にも、日本での執事の歴史は長い。 全日本執事協会は、創設者・田中慎吾が1890年に西洋の執事術と日本の伝統的なおもてなしの精神を組み合わせることを目指し、「執事協会」を立ち上げ、日本の執事文化の基礎を形成した。 ベルさんの祖父も生涯を執事として送っており、その凛々しい姿に憧れて執事の職に就いたという。 取材時のベルさんは、気品のあるモーニングコートで対応してくれた。
執事服というとスーツよりも黒の燕尾服のイメージが強い。しかし海外ならともかく、日本の街並みで考えるとやはり燕尾服は目立つように思ってしまう。現代の執事は、どのようなスタイルが主流なのだろうか。 「我々の正装という形でいうと、モーニングが一番の正装になります。 ネクタイやベストの色に関しては、執事の好みによっていろいろ自由に選ぶことができます。一般的にはモーニングを着用して、シーンよっては燕尾服を着て振る舞うこともあります。 ただやはり、モーニングにしても、燕尾服にしても、場所によっては目立ってしまいます。ですので、ご主人様のお子様の送迎であったりするときには、目立たないようにスーツでお願いされることもありますね」 初めての執事服に関しては、代々継がれるテーラー屋で調達しているというのが、全日本執事協会の伝統だという。しかし、2着目、3着目に関しては、銀座の英国屋でオーダーしてもいいし、自由だそうだ。また、ベルさんの執事服にも独自のこだわりがある。 「執事は黒をイメージするところがありますが、意外と海外では、ベストの色がグレーの執事が多いです。日本でもグレーのベストを着用している執事もいますが、そういった中でも私は黒を多めにコーディネートをしているところがこだわりではあります。 その理由としては、全日本執事協会の歴史として、『執事は黒子のように目立たないことが重要である』という教えがありますので、私はやや黒の配色を多めに意識していますね」