「よく3回無事に帰ってこれた」野口飛行士がJAXA退職会見(全文2)
イデオロギー対立を超えて次世代に発言したい
その中でやはり宇宙に行った、宇宙で暮らしたっていう経験を分かち合って、イデオロギー対立を超えて、人類というとちょっと大きいですけど、次の世代、あるいは新しい技術をつくろうとしている人たちに向けて発言していこうっていうのが、たぶん宇宙飛行士、元宇宙飛行士も含めて、共通の願いではあると思います。 なので、今の状況は、大変厳しいのは理解しつつ、この状況がやがて落ち着いて、またいろいろな国の人たちと一緒になってこの宇宙への挑戦、あるいは次世代の子供たちへの語り掛けっていうのが早くできるようになればいいなと思ってます。 司会:ありがとうございました。では【*******00:38:40】お願いします。
今後の日本の宇宙開発はどうなると思うか
日刊工業新聞:日刊工業新聞の【イイダ 00:38:49】と申します。野口さん、26年間お疲れさまでした。 野口:ありがとうございます。 日刊工業新聞:野口さんは26年間、宇宙の現場をずっと見られてきてると思うんですけれども。その中でやはり宇宙の宇宙開発はすごい、26年間で変わったと思います。その中で日本の技術ですごいなと思った点を教えていただきたいのと、今後の日本の宇宙開発、どのようになっていくと見ているかっていうのを、ぜひ教えてください。 野口:ありがとうございます。そうですね、宇宙開発、私が宇宙飛行士になったときにはまだ国際宇宙ステーションそのものが、「きぼう」ができていない時期でしたから、スペースシャトルに乗って宇宙に行くんだと。で、計画としてはありましたけど、まだ物としてはなかった時代から始まって、「きぼう」がまさに造り上げられる、本当に最初に名古屋の工場で、外側の壁を作るところから私は見せていただいてるので、それが宇宙に行き、その後の「こうのとり」につながり、いよいよ月面着陸に向けてというところで、本当に見事に進展してきてるなと。 一方で、日本の国としての力は非常に飛躍的に伸びてますけれども、おそらくそれと同じ、あるいはそれ以上に速く伸びてきてるのが民間の、民間ベースの宇宙産業で。これはもうまさに国家の宇宙予算の伸びよりも、そういうごく少数のスーパーネーションですよね、非常に強い企業が持つ、自由に使えるお金のほうが多くなっちゃってるっていう現状が資本主義のあれですけど、出てきてるので、致し方ないと言うとちょっと否定的ですけども、そういう時代になってきてるのかなというのも同じように感じます。 ですから、国策としての宇宙は大事ですし、日本は非常にいいところで独自の技術で頑張ってますけれども、それと同じように、25年前には考えられなかったそういったスーパーネーションによる、一企業による宇宙進出っていうのが、わりと普通になってきてるっていうのが大きな変化かなと感じます。 日刊工業新聞:ありがとうございます。 野口:佐々木さん、ちょっと、あの奥でずっと手をあげてる怖いお兄さんがいるので、そろそろやっぱり指して、ご指導を受けないといけません(笑)。 司会:すいません、ずいぶん遅くなりました。どうぞ。 NHK:すいません。NHKの水野です。 野口:よろしくお願いいたします。 NHK:お疲れさまでした。 野口:何から謝ればいいですかね。 複数:(笑)。 NHK:いやいや、そんなことない。それと、何回もうちのニュース等の番組に出演していただいて、とても感謝申し上げます。 野口:はい、ありがとうございます。 【書き起こし】野口飛行士がJAXA退職会見 全文3に続く