なぜ巨人はSBに歯が立たないのか…丸の走塁事件に見え隠れする“差”とは?
日本シリーズの第2戦が22日、大阪の京セラドームで行われ、ソフトバンクがデスパイネの満塁弾を含む15安打13得点の猛攻で巨人を撃破して13―2のスコアで連勝した。守っては、先発の石川が6回途中まで2失点の好投を見せ工藤監督は大量得点差があるにもかかわらず「一人一殺」の短期決戦用の万全リレー繰り出して第3戦以降につながる巨人の勢いも封じ込めた。如実に表れた両チームの力の差は、セ・パの実力差、いや、野球観そのものの違いなのかもしれない。1日の移動日を挟み24日から舞台は福岡に移る。
ソフトバンクと巨人の”圧の違い”
京セラドームに異様な空気が流れた。 巨人が2-11の劣勢で迎えた9回一死満塁。7番手としてマウンドに立った大竹は、甲斐を計算通りの投ゴロに打ち取った。ひとつタメを作り余裕をもって本塁へ送球したが、ボールが引っかかり送球が一塁方向へ流れた。決して捕球できないようなボールではなかったが、炭谷はミットに当てて後ろに逸らし2者が生還した。使い古された表現を使えば、まるで草野球。日本最高峰の技術を競うはずの日本シリーズで、やってはならないプレーだった。まるで緊張感がなかった。 球団の日本シリーズワースト記録となる13失点をした原監督は、試合後、メディアの質問を2つだけで打ち切り、シリーズ恒例の勝利者インタビューを場内で受けた工藤監督は、「初回からしっかりと得点できたのが大きかった。みんながつなげる野球をやってくれたことがきょうの勝利につながった。なによりの薬はヒット。これを3戦以降にもつなげて欲しい」と、大きな目を輝かせた。 いかんともしがたい実力差である。 楽天、巨人でコーチを務め、セ、パの野球を熟知している評論家の橋上秀樹氏は、両チームの投手の球速差をクローズアップした。 「スピードガン表示がすべてではありませんが、ソフトバンクは、変則の嘉弥真、高橋礼以外の全員が150キロ以上をマークしています。対して巨人は、7投手を繰り出しましたが150キロ以上を出した投手は一人もいません。ソフトバンク打線は、巨人の投手陣に恐怖を感じなかったでしょうし、逆に巨人は打者も投手もソフトバンクに圧を感じたのでしょう。この圧の差こそが、セ、パの野球の違いなのです」 先発の石川は最速150キロ、4番手の岩嵜が154キロ、5番手の杉山が157キロ、そして9回を任された椎野も150キロをマークしていた。対して巨人は繰り出した7投手で150キロ以上を叩き出した投手は一人もいなかった。