情報発信を通じて「最高の老後」の実現に貢献する老年科医・山田悠史先生の取り組み
◇日本に老年医学を広めるべく、情報発信に注力
私は、『最高の老後 「死ぬまで元気」を実現する5つのM』(講談社)、『健康の大疑問』(マガジンハウス)など書籍の出版をはじめ、NewsPicksやポッドキャストを通じて日頃から情報発信に力を入れています。 私は3つの思いを抱いて情報発信に取り組んでいます。まず1つ目は、皆さんの健康に貢献したいという思いです。現代は、さまざまな情報がちまたにあふれ、その中から正しい情報を取捨選択することが難しくなっています。正しい情報にたどり着けるか否かが、その人の健康を左右する要因になっていると感じます。また、年齢を重ねた患者さんを日々診療していて感じるのは、ご自身のこれまでの生き方に後悔の念を抱いている人が少なからずいらっしゃるということです。その人の時間を戻すことはできませんが、健康に関する正しい情報を多くの人に届ければ、後悔する人を減らすことはできるのではないかと考えました。 2つ目には、私は現在米国で診療していますので、「日本のために何か恩返しをしたい」という思いがあります。NewsPicksのユーザーの多くは、働き世代で忙しく、健康にまで意識を向けることが難しい人です。健康情報が届かない層にも介入できるのではないかと思い、あえてこのメディアを選びました。一方、ポッドキャストのリスナーは、健康に不安がある、あるいは興味がある30~50代の介護や子育て中の人が多い印象です。介護や家事、育児などで手が離せなくても耳を傾けるだけでよいため、音声メディアが生活にフィットしているようです。あらゆることで忙しい世代に向けて健康情報を発信し、私を育ててくれた日本へ貢献できればと思っています。 3つ目は、老年医学について皆さんに知っていただきたいという思いです。老年医学という専門領域があり、高齢者のための診療スタイルがあることを一般の人にも知っていただきたいと考え、書籍を出版しました。さらに、老年医学に従事して楽しく働いている姿を発信していくことで、老年医学に興味を持つ後輩の医師が生まれるかもしれないという期待も抱いています。