インジウム添加なしで変換効率世界最高…「CIS太陽電池」性能向上、アルミで代替に成功
産総研が実現
産業技術総合研究所の石塚尚吾首席研究員らは、アルミニウム添加でCIS型(銅、インジウム、セレン)太陽電池の性能向上に成功した。変換効率は12%と、インジウムを添加しないCIS型としては世界最高になる。インジウムは希少金属のため、ありふれたアルミで代替できると競争力になりえる。 銅とガリウム、セレン薄膜を光吸収層としCIS型太陽電池を作製する。太陽電池セルの裏面から表面に向けてアルミの含有量が減少するように濃度勾配を付けた。すると薄膜中にエネルギー帯の傾斜ができる。光を受けて生じた電子が表面に移動しやすくなる。 アルミを添加すると結晶欠陥が増えやすくなるが、アルカリ金属化合物を添加して欠陥を抑えた。封止せずに数カ月間放置しても性能が低下しなかった。 エネルギー変換効率は12%で開放電圧は0・95ボルト。CIS型はインジウムを添加しないと変換効率を10%以上に引き上げるのが難しい。太陽電池や水分解水素生成電極などへの応用を目指す。