大坂なおみは全豪OP決勝進出をかけた”因縁”のセリーナ・ウィリアムズ戦に勝てるのか?
大坂の準々決勝は苦戦が予想されていた。謝には通算で4勝1敗と勝ち越しながらも、実は4試合でフルセットにもつれ込み、2年前の全豪オープンでは翻弄され続けた末にラケットを投げ捨て、警告を受けるほどペースと心を乱された。 「トリッキーな彼女(謝)を相手にして心地よくプレーすることはできないけど、今日は何をするべきかがクリアになっていて、自分のゲームプランに集中できた。イライラする場面もあるかなと想定してきたけど、パニック状態に陥ることなく、最後まで落ち着いてプレーできました」 大坂が、ほぼ完璧に実践したゲームプランは2つ。自身のサービスゲームを確実にキープすることと、緩いボールを多用してくる謝の試合巧者ぶりに適応すること。このうち前者に関しては、驚異的と言っていい数字を伴って8つのサービスゲームをすべてキープした。 ファーストサーブの成功率は48%にとどまったなかで、成功させた25本のうち実に23本でポイントを奪った。確率は何と92%。今大会における自己最速タイの196kmを計測した弾丸サーブが、そしてコースを狙った角度のあるサーブが決まるたびに、謝へプレッシャーを与えていった。 対照的にスピードが落ちるセカンドサーブは、ウィム・フィセッテコーチから「確率50%でいい」とやや低目のノルマを課されていた。第1セットの第1ゲームでは3本連続でセカンドサーブ時にポイントを奪われた大坂は、エンジンをあげながらターニングポイントとなる第5ゲームを迎えた。 3-1とリードして迎えた第5ゲームに限れば、ファーストサーブは14本中でわずか4本しか成功していない。謝が見せた粘りの前にデュースが4度を数え、ブレークポイントを2度も握られたピンチで焦りを生じさせることなくしのぎ、キープした大坂はさらにリズムに乗った。 最終的には27本が放たれたセカンドサーブで、大坂は15ポイントを奪取。第1セットの第1ゲームで0%だった確率は、終わってみればコーチから示された数字を上回る56%にまで上昇している。 14日の4回戦では全仏オープンとウィンブルドンを制した経験をもつ、元世界ランク1位の強敵ガルビネ・ムグルサ(27、スペイン)にマッチポイントをダブルで握られる瀬戸際に追い込まれた。ムグルサが何度も打ち込んできた強烈なサーブの残像が、脳裏にこびりついていたと大坂は明かす。