なぜ大坂なおみは大逆転で全豪OPベスト8進出を果たせたのか?「1年前の私なら絶対に勝てなかった」
テニスの全豪オープン第7日が14日に豪州のメルボルン・パークで行われ、女子シングルス4回戦で世界ランク3位の大坂なおみ(23、日清食品)が同14位のガルビネ・ムグルサ(27、スペイン)に4-6、6-4、7-5で大逆転勝ち。優勝した2019年大会以来、2年ぶりとなるベスト8入りを決めた。 敗退寸前の大ピンチから、大坂が不死鳥のように蘇った。3-5とムグルサにリードされて迎えた最終第3セットの第9ゲーム。この試合で4度目のダブルフォールトを犯して15-30と先行され、続くポイントもバックハンドのリターンをネットに引っかけて落としてしまった。 マッチポイントをダブルで握られ、ネットの向こう側のムグルサだけでなく、精神的にも押し潰されそうなプレッシャーとも対峙する場面で、大坂は心のなかで何度も自分に言い聞かせていた。 「とにかくファーストサーブに集中しよう。そして、単純なミスをしないように」 直後のファーストサーブで191kmのエースを決めて嫌な流れを食い止め、ムグルサのミスショットを誘ってデュースにもち込むと、今度は強烈なフォアハンドウィナーを決めてアドバンテージを取る。最後は再びセンターへ、この試合で11本目となるエースを決めてサービスをキープした。 絶体絶命の窮地を脱出した大坂に躍動感が戻り、逆にベースライン付近に打ち込んでいたムグルサのショットが徐々に浅くなる。再びデュースとなった第10ゲームを大坂は16本を数えたラリーの末に制した。この最終セットで初めてのブレーク。5-5に追いつくと勢いはもう止まらない。 第11ゲームをキープして逆転すると、第12ゲームでも20本に達したラリーを制して最初のポイントを奪取。そのままトリプルでマッチポイントを握り、最後はムグルサのフォアがベースラインをオーバー。1時間55分の死闘に終止符が打たれた瞬間、大坂は、どこか安堵したような笑顔を浮かべた。 「彼女のプレーが素晴らしくて常に威圧感を覚えていた。緊張感が高まるポイントでは、心のなかの自分とも戦わなければいけなかった」 ムグルサは2016年に全仏オープンを制覇し、ウィンブルドンを制した直後の2017年9月には世界ランク1位に立っている。その元女王とのツアー初対決。昨年の全豪オープンでも準優勝している強敵に今大会で初めてセットを奪われた大坂は「試合を通じて、ちょっと考えすぎていた」と振り返った。