サッカー界は新型コロナ禍の経営危機をどう打開するのか…鹿島が10億円弱、浦和が6億円強の巨額赤字
さらに6月から8月にかけて実施されたクラウドファンディングでは約7800人の支援を受け、目標の1億円を超える1億2700万円が集まった。払い戻し措置が取られたシーズンチケットについても、一部のファン・サポーターの辞退を受けて寄付金としての収入に変わっている。 浦和としてもチーム人件費を除いた営業費用、たとえば事業運営費やチーム運営費、一般管理費などで既存の方法や体制に対して徹底した見直しを断行。前年度比で15億4300万円ものコストカットに成功したトータルが、入場料収入の減収を大きく押し戻す形となった。 もっとも、親会社メルカリからの融資枠がある鹿島とは異なり、浦和は2005年に当時の親会社だった三菱自動車との損失補填契約を解消している。三菱自動車と三菱重工業が共同出資して設立した、ダイヤモンドF.C.パートナーズが筆頭株主となった2016年秋以降も状況は変わっていない。 定時株主総会後にオンライン取材に応じた立花社長は、今シーズンの入場料収入も「未曾有の危機的な状況に変わりありません」と明言。パートナー企業およびファン・サポーターへあらためて感謝の思いを示しながら、クラブ経営をより強靱な体質に変えていくと誓いを新たにした。 「こういう状況だからこそ、ピンチをチャンスに変えてきたい。費用の削減には聖域を設けずに、緊張感と危機感をもって進めていきたい」 2019年度決算で計上した16億1900万円の純資産が10億700万円に減少したものの、浦和も債務超過状態には陥っていない。それでも地元に根差した、地元に愛されるクラブとしての自負心をより強めながら、終息する見通しが立たないコロナ禍で生き抜く道を模索していく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)