サッカー界は新型コロナ禍の経営危機をどう打開するのか…鹿島が10億円弱、浦和が6億円強の巨額赤字
ピッチのなかでは指揮を執って2年目のザーゴ前監督を、成績不振を理由に今月14日に解任。第一次黄金時代で主力を担った相馬直樹コーチに後任を託した今後を、依然として入場者数の上限が収容率50%以下に定められている状況を踏まえながら、小泉社長は鹿島の歴史と伝統に重ね合わせる。 「やはり勝って成績を残さないと、クラブ経営は成り立たないと思っています。ここから巻き返しを図っていくなかで改善される部分もあるはずですし、スタジアムに(大勢のファン・サポーターが)来られなくても喜んでもらえるような試合をしながら、PL(損益計算書)を改善していきたい」 一方、もうひとつのビッグクラブである浦和が単年度決算で赤字を計上するのは2010年度以来、10年ぶり2度目となる。 当時は2億6000万円だったが、今回は浦和の立花洋一代表取締役社長をして「20億円ぐらいの赤字でもおかしくない」と言わしめた苦境で、最終的には6億1200万円にまで抑え込んだ。 2019年度決算で過去最高となる82億1800万円を計上した浦和の営業収益は、一転して2020年度は57億7100万円に落ち込んだ。24億4700万円もの減収となった背景は、リーグナンバーワンを誇る観客動員数が収益に寄与してきた浦和の歴史を抜きには語れない。 入場料収入を比べると23億円から18億7700万円減の4億2300万円へ、実に81.6%もの大幅減収となっている。7月には無観客試合を余儀なくされた、昨シーズンの埼玉スタジアムにおける平均入場者数は7869人で、2019シーズンの3万4184人から大きく減少した。 それでも赤字額を当初の想定よりも大幅に圧縮できたのは、浦和を支えているパートナー企業およびファン・サポーターの理解と協力に負っている部分が大きい。 スポンサー収入は38億4100万円から37億5000万円と、9100万円の減収にとどめた。これは既存のパートナー企業が離脱せず、さらに新規のパートナー企業も支援に加わったことを意味する。 さらに物販収入も8億1400万円を計上し、減収額を8900万円にとどめている。改革の余地があると活路を求めたオンライン販売を介して、ファン・サポーターがグッズを買い求めたからだ。