“幸運もたらす蝶”を救出したおかげ?全豪OPで大坂なおみが2年ぶりベスト16進出!
ちょっぴり両目を閉じた大坂だったが、それでも嫌がる素振りすら見せずに蝶をコートの外へ逃がした。大きな拍手がわきあがったなかで、1分あまりの中断後に何事もなかったかのように試合を再開させた大坂は3連続ポイントを奪ってサービスキープ。大ピンチをしのぐと、続くジャブールのサービスをブレークし、最後はラブゲームでキープして左手で小さなガッツポーズを作った。 幼虫からさなぎをへて、美しさを伴った成虫へと変貌する蝶は“不滅”や“復活”のシンボルとして位置づけられ、特にヨーロッパでは“幸運”をもたらすと伝えられている。 もしも第6ゲームでサービスをブレークされ、ゲームカウントを3-3のイーブンにされていたら、試合の流れも変わっていたかもしれない。中断後に一変した試合経過を見れば、蝶にもたらされた突然のハプニングはまさに言い伝え通りの流れを大坂のもとへ運んできた。 さらにつけ加えれば、試合が途切れる状況でも決して苛立たず、命ある蝶をいたわりながら会場全体に和やかなムードをも漂わせた大坂の立ち居振る舞いは、メンタル面でさらに成長を遂げた跡と言っていい。実際、試合後のインタビューで大坂はこんな言葉も残している。 「最も集中したのはサービスとリターンでした。ポイントが決まるまでのラリーでは何が起こるかわからないけど、しっかりとリターンできるかどうかは、そしてサービスをどのように打ち出すのかは自分でコントロールできるので。タフな試合のなかですべてのポイントに食らいつき、全力を尽くすことだけを考えていたので、最後までしっかりと戦えたことは本当にハッピーだと思っています」 ファーストサーブの成功率は43%に甘んじ、ダブルフォールトも最終的に5度を数えた苦境で、それでも必死にセカンドサーブの球質やコースを工夫した。第1セットは第1、3、5ゲームと立て続けにブレークポイントを握られ、それぞれ8分弱、10分あまり、そして6分あまりと長丁場の戦いを強いられながらもぎりぎりで踏ん張り、ラリーにもちこんだ末にキープした。 ラリー中に相手へボールを触らせずにポイントを奪う、いわゆるウィナーは26本を数えた。耐え忍んだ展開からここ一番でショットを決める、大坂の集中力の高さの証と言っていい。対照的にジャブールは第1セットの第6、8ゲームを、アンフォーストエラーを多発した末にブレークされて落としている。マッチポイントもジャブールのリターンがネットに引っかかったものだった。