アート・バーゼルとパリの組み合わせが最強かもしれない理由
パートナープログラムも充実
アート・バーゼルは現在、世界各地で開催される国際アートフェアのトップに君臨する。1970年にスイス・バーゼルの3人のギャラリストによってスタートし、2002年からは米国マイアミ ビーチ、2013年からは香港、そして2022年からはパリ へと拡大されてきた。 グローバルリードパートナーであるUBSと共同で年次発行される「アート・バーゼル&UBS グローバルアートマーケットレポート」は、世界のアート市場に関する国際的なレポートとして重要視されている。世界の一流個人コレクター181人によるアート・バーゼル グローバル・パトロン協議会(日本からは大林武郎氏、福武英明氏、高橋龍太郎氏の3名が選出)も構成されている。 フェアでは、富裕層を顧客に持つ金融機関やハイエンドブランドとのパートナーシップも充実している。UBSはラウンジに自社のアートコレクションを展示。ルイ・ヴィトンはフランク・ゲーリーの特別展示ブースを披露し、パブリック・プログラムの公式パートナーとなったミュウミュウはパレ・ディエナで特別プロジェクト「Tales & Tellers」を開催した。 世界中から質の高いギャラリーとアート作品が集まるフェアには自ずと、最高峰のアーティスト、世界的な美術館や財団のキュレーター、コレクター、コンサルタント、批評家・ジャーナリストなどアートワールドのトップ・プレイヤーが揃い、情報を共有し発信する役割も担う。 アート・バーゼル・パリの1週間前、ロンドンでは同じく国際的なフェア「フリーズ」が開催され、世界4大メガギャラリーのガゴシアンやペースなどを筆頭に31のギャラリーが双方に出展。週末を挟んで開催されるアート・バーゼル・パリには大きな注目が集まっていたという。 「ロンドンよりもパリのほうが明らかに熱量が高く、作品の動きもパリの方がいい。昨年、一昨年のパリプラスとは明らかに次元の違う期待感を持ったコレクターが日本も含め世界からが来場した」と語るのは、日本を代表するギャラリーのひとつ、タカ・イシイギャラリーの増山貴之。ブースでは、物や自然に宿ると信じられている精霊や神々をテーマにしたグループ展を開催した。 特に注目を集めたのはヴェネチア・ビエンナーレの企画展で大型作品を展示するなど近年注目を集めるフリーダ・トランゾ・イエーガーの小さな祭壇画。「ヴェネチアで見てバーゼルで買う」は現代アート界の合言葉と言われるが、6月のアート・バーゼル(バーゼル)だけでなく、11月まで開催されるビエンナーレを回ってからパリ入りするコレクターも多かったようだ。