アート・バーゼルとパリの組み合わせが最強かもしれない理由
近年注目を集める日本人アーティストの個展も
国際的なアートフェアの花形といえば、美術館クラスのマスターピースを展示するメガギャラリー。今回のアート・バーゼル・パリでは正面エントランスを入ってすぐの場所にガゴシアンやペース、ペロタン、ブラムといった有力ギャラリーが並んだ。ロンドンのフリーズが会場を全面リニューアルし、若手ギャラリーを前面に配しメガギャラリーが奥まった場所に移ったレイアウトとは対照的だ。 2016年から東京に拠点を持つファーガス・マカフリーは、パトリック・ホール、池田達雄、久保田茂子らの作品を展示した。同ギャラリーの久保典子は、「今回のブースはずっと出展していたFIACのときと同じ位置。パリプラスには出展しておらず久しぶりのグラン・パレだが、FIACのときよりもコレクターが世界各国から集まっている」とVIPプレビューの印象を語る。同時期にポンピドゥーセンターで開催中のシュルレアリスム展には、取り扱い作家である池田達雄の作品も展示されていた。 MISAKO & ROSENは、コソボ・プリシュティナのギャラリー「ラムダラムダラムダ」との共同ブースで出展。両ギャラリーには、アート・バーゼルで日本のVIPリレーションを担当する武田菜種の一行も来訪。「この場にふさわしい最高に素晴らしい作家と作品を選んだ」とローゼン美沙子が語るブースには、各国から多くのコレクターが詰めかけて好調なセールスを博した。 今回新設された、新進のギャラリーやアーティストを紹介する「エマージェンス(Emergence)」セクターはメインフロアの展示を眺望できる2Fのバルコニースペースに集まった。 アート・バーゼル初出展となるKayoko yukiは木材を使った作品に廃材を組み合わせて「記憶の相違」をテーマに創作する井出賢嗣の個展を開催した。大型作品が多い会場内にあって、多くの訪問者が繊細な作品に目を留めてギャラリストと語り合っていたことが印象に残る。