自民・岸田氏が会見 総裁選出馬を表明(全文1)ソフトパワー外交を進めたい
経済・外交政策を具体的に聞きたい
産経新聞:産経新聞の【ナガサワ 00:06:52】です。最初にお伺いします。経済と外交のことをお伺いしましたが、安倍政権と比べて、これから岸田政権になれば、経済と外交ではどのような政策を敷かれるのか、具体的にお願いします。 岸田:これも先ほど立候補表明の中で一部申し上げさせていただきましたが、安倍内閣の7年8カ月、経済においても外交においても大きな成果の上がった7年8カ月であったと私も思っています。経済においても成長の果実、GDPにおいても企業収益においても、また、雇用においても、これは7年8カ月の間、ずいぶん変わった。また、外交においても7年8カ月前、それまでは毎年のように日本のトップリーダーが代わるということで、日本の国際社会における存在感、これも大変寂しい状況にあった。こういったことでありましたが、この7年8カ月、安定政権の下で日本の国際的な存在感、発言力、こういったものも格段、高まった。こういった時代であったと思っています。 しかしながら、どんな政策も、これは10年、20年、同じ政策を続けていて通用するほど甘いものではないということです。時代はどんどん変化しているわけですから、その変化にしっかり対応していかなければならない。こういったことだと思います。何よりも今は新型コロナウイルスとの闘いに直面しているわけですから、よりそういった思いを強くしています。
トリクルダウンが実感できないという指摘も
よって、安倍時代のさまざまな経済政策についても、しっかりとこれからも持続していかなければいけない部分もありますが、例えば格差の問題。確かに成長の果実はさまざまな努力によってしっかりと感じられるわけですが、それがどう分配されてきたのか。大企業や富裕層においては確かにそうした成長の果実、実感できるのかもしれませんが、じきトリクルダウンが生じて、中間層や中小企業や地方にもこういった成長の果実が届くんだといわれ続けていましたが、なかなかそのトリクルダウン、実感できない。こういった指摘がありました。さらには格差の問題についても、子供の貧困、あるいは子ども食堂などというものが話題になる、こういった時代を考えましても、しっかり立ち向かっていかなければならない。 安倍時代の成果は高く評価しながらも、今言ったような時代の変化の中にあって、新たに浮かび上がってきた課題についてはしっかり取り組まなければいけない、このように思っています。よって格差の問題、あるいは分断から協調へというような言葉で表し、努力をしたいということを申し上げました。 外交ということについても、先ほど申し上げましたように大きな成果は上がってきたと思いますが、今、国際社会自体がさらに変化している、これが実態であると思います。米中の対立がより深刻化してきた。そして国際社会において保護主義、自国第一主義、さらにはブロック経済、こうしたことがいわれている。こういった時代にあって、日本のような島国で、資源がなく、そして人口が減少していく、こういった国がどうやって存在感を示していくのか、これを今、真剣に考えていかなければならない、こういったことだと思います。 そのために、先ほども少し申し上げましたが、基本的な価値観に基づくソフトパワー外交というものをしっかり進めていきたい。こういったことを申し上げています。安倍政権における成果を評価しつつも、新しい時代に向けて今申し上げたような課題に取り組んでいかなければならない。こういった問題意識を私は持っています。