「『わからない』じゃ困るんです」…部下から突き上げられた「50歳の幹部自衛官」が涙を流して絞り出した「悲痛な言葉」
防衛大学校から自衛官へ
働くなら、公平無私、学歴不問、対等で平等、完全実力主義の組織がいいか。それとも、その組織にどうやって入って来たか。この入り口を通り抜けた通行手形の優劣が生涯付き纏う。それでいて時として不公平で不平等な待遇もある。ただし責任はさほど問われない。代わりに日頃、優遇されている者がすべて背負う組織がいいのか。 【マンガ】「南海トラフ巨大地震」が起きた時、もし「名古屋港」にいたら… 例年3月、4月、かならずニュースとして取り上げられる話題がある。年度末の3月であれば将来の幹部自衛官を養成する防衛大学校(神奈川県横須賀市)を卒業しながら、自衛官への任官を辞退する、いわゆる「任官拒否者」の数だ。 今年2024年、防大卒業者数は留学生などを除き383人。うち任官を辞退した者は35人である。その数は昨年度に比べ11人少なかった。この任官辞退者の数は卒業生が民間企業へと流れやすい好況期であれば増え、就職難に喘ぐ不況期であれば減るという。 多少の差はあれ、例年、防大を卒業した者は、そのまま無試験で陸海空それぞれの幹部候補生学校へと入校。約1年後、「3(等陸海空)尉(以下、3尉)」へと任官。幹部自衛官となる。旧軍でいう少尉、将校(もしくは士官)だ。 無試験で近い将来幹部自衛官になれる立場をみずからの意思で放棄、任官を辞退する者もいれば、わざわざ難関を潜って任官する者もいる。一般の大学を卒業、一般幹部候補生として採用された者たちだ。
キャリア組の道へ
現在の自衛隊では人事区分上、防大卒と一般大大学卒などを対象とする幹部候補生採用の者を「A幹部」と呼称されている。 このA幹部は、いわば自衛隊における「キャリア組候補」だ。自衛隊関係者によると、旧陸軍士官学校、旧海軍兵学校卒と同格の将校としての扱いを受けるからだという。 もっとも防大や一般大出身のA幹部というだけでは、まだキャリアとはいえない。幹部自衛官として任官の後、中堅といわれる立場になったタイミングで「指揮幕僚課程」(陸はCGS、海と空はCS)と呼ばれる研修を経て、初めて中央官庁のキャリア組採用者(国家公務員総合職、かつての国家1種、その源流は高等文官)と同格になるからだ。 いずれにせよ、民間企業にこれを擬えたなら、「大学新卒の総合職採用」の正社員といったところか。