本当に痩せたいならカロリー制限は不要!? その理由と科学的根拠
知りたい人のための体重とカロリーの目安
年齢で目標とするBMIは異なる(下表参照)が、痩せすぎでも肥満でもないBMI22がいちばん健康的で死亡率も低い。そこでBMI22の体重を「標準体重」と呼ぶ。1日の摂取カロリーの目安は、標準体重にエネルギー係数をかけて簡単に求められる。エネルギー係数は、どれほど活発に活動するかを示すもの。デスクワーク主体で活動量低めの人は25~30、立ち仕事が多く適度な活動量なら30~35、力仕事が多く活動量高めの人は35以上となる。
BMIの基準値
ダイエットが必要なのは、太っている人。肥満かどうかの基準は身長と体重で割り出すBMI。BMI18.5未満は痩せ、25以上が肥満。身長170cmで体重75kgなら、上の式からBMIは75÷(1.7)²≒26。肥満となる。
理由⑥ 脂は摂っても平気である
カロリー制限でまずセーブされるのは脂質。カロリーになるのは糖質、脂質、タンパク質の3大栄養素。脂質は1g9キロカロリーで、1g4キロカロリーの糖質とタンパク質の2倍以上のカロリーがあるからだ。 加えて、脂質の摂りすぎは血管の老化である動脈硬化を進め、心臓病の危険度を上げるとされてきた。ことに、肉類など動物性脂質に多い飽和脂肪酸の摂りすぎが問題視されており、摂取カロリーの7%以下にするという上限値が定められている。 「しかし、この上限値に根拠はなく、日本人では逆に飽和脂肪酸の摂取量が多い人ほど、脳卒中を中心に動脈硬化症は少ない。アメリカの食事摂取基準では、すでに脂質の制限は撤廃されています」 脂質を減らしすぎると、心臓病のリスクを上げる恐れすらある。 「脂質を炭水化物(糖質)に替えた研究で、心臓病の発生を抑制できませんでした。また心臓病を患った経験がある人は、脂質を炭水化物に替えると、再発率も死亡率も上がることがわかっています」 脂質で控えたいのは、酸化した脂質や合成されたトランス脂肪酸。脂を味方にしよう。
飽和脂肪酸が増えても心臓病は増えない
日本、アメリカ、フィンランドで、飽和脂肪酸の摂取量と、冠状動脈性心筋梗塞の発症数を比較。日本人では飽和脂肪酸の摂取量が増えても、発症例は低い水準に保たれる。