なぜ55歳”キングカズ”のJFLデビュー戦は異例ずくめとなったのか?放ったシュートはゼロも「今日だけで去年の60倍も出た」
日本フットボールリーグ(JFL)が13日に開幕し、横浜FCから鈴鹿ポイントゲッターズに加入したFW三浦知良(カズ、55)が新天地でデビュー。FWアマラオが持つ43歳9日のJFL最年長出場記録を55歳15日へ大幅に更新した。クラブ新記録となる4620人の観客が集まったホームの四日市市中央陸上競技場に、ラインメール青森を迎えた開幕戦で先発に名を連ねたカズは、放ったシュート数こそ「0」だったものの、0-0の展開が続く状況で献身的かつ泥臭いプレーを披露。後半20分までピッチに立ち、鈴鹿はその後に2ゴールをもぎ取って白星発進を飾った。 42社から計76人が来場したメディア数も鈴鹿史上で最高ならば、オフィシャルグッズとして300枚が用意された『KAZU』のロゴ入りタオルマフラー(1500円)も瞬く間に完売。チーム関係者を驚かせるフィーバーを巻き起こしながら、J1から数えて“4部”にあたるJFLを舞台にした、カズの新たな挑戦の幕が開けた。
4620人の最多観客動員
視察と応援を兼ねて来場していたJFLの幹部が驚きの声を上げた。 「これは歴史的にも、なかなかない状況だぞ」 午前11時の開場から1時間もたたないうちに、約1500席が設けられたメインスタンドが満席になった。開幕戦の会場となった四日市市中央陸上競技場の周囲では、鈴鹿のスタッフが拡声器を介して何度も緊急案内を告げている。 「バックスタンドか、もしくはゴール裏へお回りください」 最終的に集まった観客数は4620人。これまでの最多だった、2019年5月5日のヴィアティン三重との“三重ダービー”の1308人を大幅に塗り替えるクラブ新記録であり、569人だった昨シーズンのホーム開幕戦の実に8倍強に達した。 鈴鹿の広報担当者をして「これまでは10人来れば、ちょっと驚きでした」と苦笑させたメディア数は実に42社76人。単価1500円のタオルマフラーは用意した300枚が瞬く間に完売し、あまりの人気ぶりが関係者を残念がらせた。 「先行販売の段階で、ユニフォームが在庫切れになったのが……」 ファン・サポーターだけでなくメディアのほとんどが、鈴鹿に加入した“キング”を目当てに来場した。大人気を博したタオルマフラーには『KAZU』のロゴが入り、追加発注が間に合わなかったユニフォームの背中には代名詞の『11』が輝きを放つ。 クラブ史上で前例のないフィーバーを、誰よりもカズ本人が感じていた。 「鈴鹿入りしてからたくさんの方に声をかけられて、練習試合やトレーニングには平日でも何百人というファン・サポーターや地元の方々が応援に来てくれる。今日はどのぐらい入るのかが想像できなかったなかで、子どもからおじいちゃん、おばあちゃんまでが僕の名前を呼んでくれた。大きなモチベーションにつながりました」