大怪我から5年…パラアスリートとして蘇り50歳の最年長金メダリストとなった女性サイクリスト杉浦佳子を勇気づけた言葉とは?
今大会のコースになった富士スピードウェイに関しても、コーチらから受けた助言やコースの特徴を微に入り細をうがってコース図に書き込み、レース前夜やスタート直前を含めて何度も何度も読み返しては記憶に焼きつけた。 右半身に力が入りにくいため下り坂やコーナーではペダルを踏まずに足に休息を与え、もともと得意だった上り坂になったときに全力でこぐ。最後の直線での猛スパートを含めて、周囲の協力を得て完成させた青写真を初挑戦の舞台で完璧なまでに具現化させた。 「ゴールの向こう側には栄光が待っていると聞いていたので、自分はただただ栄光へ向かって走ろうと。とにかく全力疾走しました」 自転車を降りれば杖が欠かせなくなる。表彰式にも右手で杖をついた姿で登壇。さまざまな価値を持つ金メダルの重みをかみしめ、中央でなびく日の丸を見つめながら、杉浦はマスク越しに感極まった表情を見せた。 「大変な環境の中で、それでもスポーツをサポートしてくれた方々と応援してくれた方々には本当に感謝の気持ちしかありません。それをどういう形で恩返しできるか。いい結果を出すことしか自分にはないかなと思っていたので、ある意味でお返しができました」 夢を追い続ける姿の尊さは、オリンピアンやパラアスリートだけにとどまらず、健常者と障害者の間でも変わらないと証明し、競技歴の多寡だけでなく年齢の壁をも乗り越えてみせた杉浦は2つ目のメダルをかけて、3日の女子ロードレースに出場する。