不動産所有者が知らないと後悔する「百万円単位で損しない」ための手続きミスを防ぐ方法
累計188万部の大人気シリーズ『おとなの週刊現代』が大幅リニューアル!週刊現代で大反響だった記事の中から、相続や在宅介護など、「死後の手続きと生前準備」にまつわる記事を、加筆のうえ、ピックアップ。 【マンガ】工事現場の「交通誘導員」はいくら稼げる? 驚きの最高月収 〈第1部 知らないと損する死後の手続きの新常識〉、〈第2部 今日から始める生前準備のすべて〉、〈第3部 身の回りの整理整頓。人生の最期を考える〉の三部構成からなる『おとなの週刊現代 2024 vol.4 死後の手続きと生前準備』 (講談社MOOK) より一部抜粋・再編集して、人生の最期で失敗しないためのノウハウをお届けする。 『妻のへそくりに税務調査が入った際の対応方法と「妻を説得させる言葉」』より続く
不動産の評価額を下げる
子供たちへ相続させるべき財産を整理し、遺言書も認めた。遺産相続の手続きを終え、安らかな眠りについた、はずだった……。しかし、親の「手続きのミス」で、相続した子供たちが大損するケースがある。 その最たるものが、相続不動産にまつわる認識不足だ。円満相続税理士法人所属の税理士・伊藤昌二氏が言う。 「相続税のことを考えずに、遺言書を書くケースです。相続が発生してから、相続人が初めて相続税を計算したところ、手持ちの金銭では相続税の支払いができないことに気づく。支払いのためのおカネを工面するために、慌てて不動産を売ろうとして、大損するおそれがあります。不動産会社は売り急いでいることを察知すると、足元を見て、相場より安い価格で買い叩こうとする。 相続税の申告・納付期限は相続の発生から10ヵ月以内です。その間に物件を売ろうとすると時間がありません。売却方法や売却先を選ぶ余裕がなく、業者の提示した安い価格での売却に至るケースもままあります」
節税できるのに大損する
特例を使って相続税を抑えたのに、その後、うっかりして追徴して課税されることもある。前出の貞方氏が事例を紹介する。 「よくあるのが、相続が発生した後に自宅を売却してしまうケースです。同居していた単身の親を亡くした子が自宅を相続する際、330平方メートルまでの宅地は評価額を8割減額できる『小規模宅地等の特例』があります。ただし、これは最低でも相続税の申告期間(10ヵ月)までは相続した家に住み、保有し続けることが前提です。一人で住むには広すぎるからと、申告期間より前に売却したら、大損します。せっかく節税できるのに、8割減額前の元の評価額で計算のやり直しとなり、減額されていた相続税が追徴して課せられる場合があるのです」 「小規模宅地等の特例」は賃貸マンションや投資用アパートなどの「貸付事業用宅地」にも適用できる。こちらは200平方メートルまでの宅地が5割減額される。 「問題は単身の親が老人ホームに入っている場合です。同居していた子が一人で住むよりも貸したほうがトクと考えて自宅を賃貸に出し、その間に亡くなったとします。子がそのまま住んでいれば8割減額で相続できたのに、賃貸に出したために5割減額となってしまう。都心の不動産だと大きな額になるので、気をつけたほうがいいでしょう」(財産ブレーントラスト社長の成島祐一氏)