なぜ西武は逆転勝利でCS圏内の同率2位浮上に成功したのか?
日本ハムは6回から、左腕の堀瑞輝を3番手として送り出した。左腕との相性の悪さを考え、森の脳裏で即座に弾き出された答えが送りバントだったのだ。 嬉しそうな表情を浮かべながら辻監督が続ける。 「(サインを)出そうかなと、僕の判断がちょっと鈍っていたんですけど。選手に任せていたなかで、堀に分が悪い、打てないと判断したんでしょうね。ひとつファウルになって、打つかなと思っていたらそれでも送ってくれた。それだけ次の1点の重みを理解して、しっかりと仕事をしてくれました」 チーム打率.237はリーグ5位。総得点457も同4位に甘んじている。104本とようやく3桁に到達させたチームホームラン数も、主砲・山川穂高が右足首を痛めて登録を抹消された現状では、スパンジェンバーグの14本が最多だ。一方で、この来日1年目の助っ人は両リーグ最多の146三振を喫し、指揮官を「ダメかなと思ったら打つ。つかみどころのない選手ですよね」と苦笑させる。 ならば犠打や足を絡めた攻撃を駆使して、広げたチャンスを確実に得点につなげていくしかない。7回も中前打で出塁した先頭の9番・木村文紀を、1番・金子侑司が初球を失敗しながら執念のバントで送り、3番・外崎修汰のタイムリーで逆転した。 大振りではなくコンパクトなスイングで、センター前に弾き返した外崎は「イメージ通りでした」と、一死一、三塁のチャンスで抱いていた心境をこう明かした。 「状況が状況だったので、何とかバットに当てれば1点が入ると思っていたので。いい場面で回ってきた初回で僕が打っていれば、もっと楽な展開になっていた。そういうのもあって、チャンスで回ってきたあの場面では何としても、という気持ちでいきました」 初回もヒットで出塁した金子を、源田がバントでスコアリングポジションに進めていた。昨シーズンまでのリーグ連覇の原動力になった豪打が影を潜めてひさしいからこそ、ベンチだけでなく選手個々が何をすべきかを必死に考える。苦しい戦いの連続がチームを成長させ、胸突き八丁の終盤戦に入って失速したロッテを猛追し、ついには同率で並ぶ原動力になった。 守護神・増田が9回を3人で締め、リーグトップのセーブ数を33に伸ばした瞬間とほぼ時を同じくして、ロッテがZOZOマリンでソフトバンクに3点のリードをひっくり返されて敗れたという一報が入ってきた。 ナイトゲームでは4位の東北楽天ゴールデンイーグルスが2枚看板の一人、則本昂大を先発に立てながら、すでに最下位が決まっているオリックス・バファローズに完敗。残り4試合で借金が3に膨らんだなかで、2位を巡る争いは西武とロッテの一騎打ちになりつつある。